幕が開かなきゃ舞台ははじまらない。でもドアが開かなきゃイベントがはじまらない。今回は意外と雑に処理されているドアオープン、ドアクローズについてまとめたいと思います。

今回の記事は運営の中の運営、まさにド運営と言うべき内容です。

皆さんいつもちゃんとやっていますか?扉をなんとなく開けてなんとなく閉めてませんか?
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ドアオープン・クローズ管理は運営の要

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ドアオープンとは文字通り扉を開けること。ドアクローズとは文字通り扉を締めること。イベント会場の扉が1つだけならいいのですが、ほとんどの場合はそうではありません。むしろたくさんあることが多いです。そのため一斉に扉の開け閉めを行う必要があるんです。

この一斉にというのが厄介で、スタッフ間の意思疎通が測れていないと、開けるべき扉が開いておらず、また閉めるべき扉が開いているということが起き、来場者のコントロールができなくなってしまいます。そのため運営チームはこれをちゃんとこれを意識してもらいたいなと感じています。

キビキビした運営のポイントは頭をきっちり揃えること。そのためにはこの扉のコントロールというのはとても重要です。この機会にドアオープン・クローズの基礎知識をきっちり身につけて、できる運営を目指しましょう!


本番に至るまでの運営Qの段階

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あまり知られていませんが、運営にも「Q」があるのです。「Q」とは何かをはじめる時の開始の合図です。運営に関わっている方はこれを意識して指示を出しましょう。このタイミングの考え方がグダグダだと、その場での無駄なやり取りが増え、意思の疎通が遅れてしまいます。
  1. 外扉オープンQ(ロビーQ)
  2. 受付開始Q
  3. ドアオープンQ(開場Q・客席オープンQ)
  4. ドアクローズQ(随時オープン→ドアクローズ)
  5. 休憩時ドアオープンQ
  6. 休憩終了時ドアクローズQ
1~3のQはまとめて一緒に行う場合もありますが、基本的にはこのような「Q」の段階を経て運営を行います。今回はドアオープン・クローズにあたる部分にだけフォーカスをあててご説明したいと思います。


1.外扉オープンQ(開場Q)

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外扉は借りているイベントスペースと外を繋ぐ扉を指します。ロビーが狭い場合は、これを開ける=客席までオープンになる場合も多いのですが、ロビーが広い場合は、外に待機列ができすぎないようにロビーまで一時的に引き込む場合にこの段階を踏むことがあります。OKとなる判断基準は当然ですが、ロビーの状況が客入れOKとなっているかどうか。そのポイントもいくつかありまして、

外扉オープンQの判断基準
  • スタッフがスタンバイできているか
  • 備品設置ができているか
  • 展示物の設置が完了しているか
  • ゴミが落ちていないか
  • 関係者の備品や私物などが見苦しく置かれていないか
  • ステージ側の音漏れ(ガナリ声など)がないか
  • 上記のポイントが確認できていた上で主催者の判断をもらっているか
どうですか?普段これできていますか?経験上、このようなことがクリアになっているかを確認してから開場Qを出しましょう。そうでないと、一番最初に入ってくるモチベーションの高い来場者に悪い印象を与えかねません。

また外扉はこちらのスタッフで開け閉めする場合と会場スタッフにより開け閉めする場合があります。後者の場合は開ける時に少しのライムラグが発生しますので、それを見越して早めに開場するかどうかの判断を行いましょう。



3.ドアオープンQ(開場Q・客入れQ・客席オープンQ)

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ホール内の客席の扉のオープンについてですが、ロビーが狭い場合はロビーで滞留することができませんので、1の外扉と同時にオープンすることが多いです。レアケースになりますが段階として1と3を分ける場合は、ロビーで先行して物販を行いたい、展示を見せたい、来場者同士の交流をさせたい、などの意図がある時に行います。

客席扉を開けていいかどうかの判断基準もいくつかあります。

ドアオープンQの判断基準
  • 客席が整っている
  • リハーサルが終わっていること
  • ステージの映像が客入れ状態になっている
  • BGMが客入れ状態になっている
  • 客電(照明)が客入れ状態になっている
  • 客席誘導のスタッフがポジションに着いている
  • 関係者の備品や私物などが見苦しく置かれていないか
  • 上記のポイントが確認できていた上で主催者の判断をもらっているか
これらが確認できてはじめて客入れQが出せるということになります。これは運営の責任ではありませんが、舞台側、進行側の準備が整わず開場時間が遅れる場合がよくあります。運営側はロビーのお客さんの対応が苦しいとは思いますが、ここは耐え忍ぶしかありません。頑張りましょう。


高度な扉開けテクニック 部分扉開場

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扉を開ける時に大事なことがあります。開けるべき扉を一斉に開ける。これが重要になります。中途半端な開け方をするとお客さんの流れがおかしなことになり、運営に支障をきたしてしまいます。開けるべきと表現したのには意味があり、部分的に開けるという高度なテクニックも存在します。

例えば前の方から客席を埋めたい場合は、前の扉のみ開場。1階席から埋めたい場合は1階席が8割型埋まったところで、2階席をタイミングをズラして開場。

というように段階的に扉を開けて来場者の流れをコントロールする必要があります。これがうまくできると、理想的な客席デザインが可能になります。逆にこれが下手くそだと、お客さんが前方におらず、出演者にとってもモチベーションの上がらない空間になってしまう場合もあります。



小さいけれど超有能 ドアストッパーの存在
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開けたら開けっ放しではいけません。これは扉の形状にもよりますが、この客入れ状態がしばらく続くので、お客さんの入場の勢いが強いときは開放の状態にしましょう。そうです、人の手が足りない運営の時にずっと手で開けているわけには生きません。ここで必要なのがドアストッパーです。これは必ず用意されているか確認しましょう。こんなちっこい備品でもあるのとないのでは大違いです。


4.ドアクローズQ(随時オープン→ドアクローズ)

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ドアクローズを行う時は本番が開始する前です。ドアのクローズも一斉に閉める、もしくは段階的に閉めるの2パターンあります。ホールの規模や来場者の動向にもよりますが、原則としては3~5分前にはドアは閉めるようにしましょう。経験上、運営スタッフさんたちこれが結構できていません。そもそも閉めないとという意識が弱い気がします。

運営側だとステージの内容を意識できない気持ちもよく分かりますが、最近は暗転からのオープニング映像で始まるステージがたくさんあります。その時に扉からの明かり漏れはものすごくみっともないです。舞台側から指摘を受け、慌てて対応する前に、ステージの進行表を確認し、最初に暗転があるかどうかは確認しましょう。なので、基本的には、

3~5分前
ドアストッパーを外し、扉の開放を解除。スタッフがついての随時オープンに切り替え。客席の状況を確認し、空席場所、空席数を確認。同時に本番のスタートがオンタイムかどうかを確認。

1分前
完全扉クローズ。遅延者対応の扉を限定し、そこ以外は随時オープンでも開けないように運営。

本番開始~本番中
会場内の暗転状況を確認し、暗転中は遅延者対応扉でも開けないように運営。

という流れでドアクローズ対応を行いましょう。運営は本番中動きが少ないので休憩時間になりやすいのですが、本番中も上記の対応は最低限行う程度にポジションの残しておきましょう。


5.休憩時ドアオープンQ 6.休憩終了時ドアクローズQ

こちらはまとめて説明します。休憩時間に扉からワッとお客さんが出てきますので、タイミングを見計らって、扉を開け、お客さんの流れがスムーズになるようにドアストッパーをかけ、扉を開放にしましょう。そのタイミングはトランシーバーで進行状況がわかるスタッフに押し具合を確認しましょう。

そして休憩明けで本番再開の時も同じくですが、トランシーバーで休憩終了時間を確認し、最初のドアクローズ時と同じ様に扉にポジションを配置し、段階的にドアクローズを行っていきましょう。この時は遅延者扉を限定しなくてもおそらく大丈夫な状況かと思います。


まとめ

どうでしょう?当たり前のことではありますが、普段意識して運営されていますか?たかがドアオープン・クローズとあなどるなかれ、ということで、長々と解説してしまいました。

気持ちの良いキビキビとした運営を行うには、来場者の動きをきっちりコントロールするには、ドアオープン・クローズは非常に重要なポイントとなります。運営に携わるスタッフの皆さんはこのような基礎知識をしっかり身につけ、チーム全体の意識統一を図り運営に望んでいただければと思います。