イベント屋さんっていつもどんな服装で現場に入るべきかまとめているサイトなんてないですよね。そこで今回は、業界で常識と言われている現場のコーディネートをあらためて整理してみたいと思います。これを読めばきっと現場の日の朝に無駄に悩むことがなくなるでしょう!
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イベントではどんな服装であるべき?

結論から言いますと、場に即した服装が望ましいと思います。その上で、機能として周りから見て、「あ、この人スタッフだ!」というのは一目瞭然であるべきだと思います。場の中にいて浮いてしまっては裏方業として本末転倒です。ではどんなシチュエーションでどんな服装であるべきか、なには支給でなにが自前であるべきか、についてご紹介したいと思います。


スタッフTシャツ

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Tシャツはオリジナルで作る衣装のため支給されるのが前提です。こういうのがある時は悩まなくていいですよね。音楽イベントやスポーツイベントなど規模の大きいイベントの場合はよく使われています。Tシャツは大量に作ると安いんですよね。周りから見て「あ、この人スタッフだ!」というのが一目で分かる視認性の高さもメリットの一つ。文字の表記をSTAFFだけでなくSECURITYに変えたり、Tシャツ自体のベースカラーの色分けを行うことで、役割がはっきりと分かる様に作ったりすることもできます。少し涼しい時期は下に長袖のシャツを着て、その上から支給のTシャツを着るTシャツON長Tで着る方も多く汎用性の高いアイテムです。

弱点もいくつかあります。まずはTシャツなのでサイズを選ばないといけないこと。だいたい人数と男女比でざっくりと手配して振り分けることとなりますが、どうしても予備を用意する必要がでてきます。着替える場所と時間の確保も必要になります。朝の忙しい時間に着替える時間を確保するのも煩わしいですし、場所もたいていトイレを使うのでしょうが、混雑は避けられません。また複数日開催の場合は複数枚Tシャツが必要になり、枚数がかけ算で増えてしまいます。

Tシャツは終わった後もらえるので、現場に入ったスタッフは嬉しいんですけどね。パジャマに使ったり、音楽イベント関係者は仕込みの時に違う現場のTシャツを着て使い捨てのように使っていることも多いです。


ダークカラースーツ

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ディレクターのナンバー1の無難コーディネートはこれでしょう。もちろんサングラスはダメですよ。式典や企業のインナーイベントではほぼ間違いなくスーツを指定されます。当然支給品ではなく自前の服です。昔ホテルの現場で特に指定されなかったので、ジャケットパンツスタイルで行ったらめちゃくちゃ浮いてしまったことがあります。フォーマルな場ではなにも言われなくてもスーツを着ましょう。迷ったらスーツが一番です。スタッフかどうかの識別はこれだけでは難しいですね。スタッフパスと併用して識別するようにします。

スーツでも少し注意が必要です。ライトグレーでもいいのですが、ほとんどの方はダーツカラーのものを着ています。悪目立ちしたくなければダーク系のものをオススメします。同じ発想でネクタイや靴もあまり奇抜なものは避けるようにしましょう。特にネクタイはクールビズがここまで浸透している今の時代でもつけていないと浮いてしまう場合もあります。しなくてもいいかもしれない現場でも必ず持っては行くようにしましょう。

またワイシャツの色はカラーではなく白にしましょう。派手なカラーのものはマイルドヤンキーみたいになってしまいます。また現場の準備段階では動くのでジャケットを脱ぐ機会もあります。その時に一時的にワイシャツだけになるのですが、インナーに柄や文字の入ったものを着ると確実に透けます。これ経験の浅いディレクターにほんとに多いのですが、かなりダサいので止めましょう。着ないと着ないで汗がジトーっとして、相手に不快感を与えてしまいます。インナーには透けにくいものを選ぶように心がけましょう。

テクニカルの方はあんまり関係ないと思われがちですが、スーツを指定される場合があります。それはフォーマルなイベントで表に出るケース、VIPと接するケース。具体的にはマイクの高さアレンジを行う音響さん、ピンマイクを付ける音響さん、フロアで見える位置にいるピンスポさん、生カメのカメラマンさん、ケーブル捌きを行うカメアシさん、スチールカメラマンさんです。オペ卓が見える位置にある場合は卓のオペレーターさんもそうですね。テクニカルの方もその場のトーン&マナーがあると思いますので、制作さんに確認しましょう。制作側は場を考えてちゃんとドレスコードを指定するようにしましょう。

現場のスーツは消耗品です。物を運んだり、しゃがんだりするので痛むのが早いです。靴も片膝をついて待機とかが多いのですぐ形がゆがみます。よれよれのスーツ(現場にはよく見ますが)ではおもてなしをするのに相応しくありません。イベント業においてはいいものを長くより、安いものを定期的に替えるようにしましょう。


黒子衣装

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舞台関係のスタッフは独特の服装を指定されることがあります。それが黒子衣装です。支給されるわけでもなく自前で用意しなければいけないのですが、進行に関わる人間はみな標準装備品だと思われています。使い勝手はスーツの動きやすい版と考えてください。自分もフリーランス時代に慌てて深夜のドンキで買い揃えた記憶があります。進行の仕事をやっていこうと思う方はかならず用意しておきましょう。こちらもスタッフかどうかの識別は難しいです。パスと併用して識別しましょう。

黒子衣装は黒い(目立たない)服であればあまり細かい規定はありません。黒いシャツ、黒いズボンであればOKです。トップスは記事によってTシャツだったり、ポロシャツだったり、スエットだったり、シャツだったり、ジャンパーだったりします。テクニカルの方は会社で黒いジャンパーを揃えている会社もあるようです。要は目立たない服装が望ましいということで、必ずしも黒である必要もありません。自分も濃紺のシャツを着たりします。ただ伝える際に濃さ具合を伝えるのも難しいので黒と伝えた方が無難な気がします。かしこまった場ではなく動きやすくて目立ちたくない場合はだいたいこの黒子衣装を指定されます。


ペラペラジャンパー+チノパン

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このペラペラジャンパーという呼び方は自分の周りだけかも知れません。。中に綿などが入っているわけでなくスタッフと識別しやすいのでそう呼んでいます。一般的にはイベントジャンパーとか、イベントブルゾンと言われています。これは汎用性が高いので支給品です。

これはサンプリングイベントなどキャンペーンイベントをしている方にはおなじみのアイテムですね。街中でもよく見ますよ。Tシャツだと寒い時期はこれを使われることが多いです。少し大きめのものにするとインターにセーターも着ることができるのでシーズンカバー率は非常に高いです。上に羽織るだけなので着替えの時間や場所を必要としないのがいいですね。唯一の難点が、暖かい時期にこれを着用するとめちゃくちゃ暑いということ。あるあるネタですが、よく内側に玉のような水滴がつくことがあります。

チノパンは支給品ではなく自前のものを使います。イベントのスタッフをされる方は普通に「上は支給で下はチノパン自前で」と指定されることもあるので、あらかじめ用意しておくようにしましょう。なぜチノパンでジーンズがダメかと言うと、ジーンズはダメージが強いものを好む方もいるので、来てみたらこれはアカンと思う確率が高いからです。清潔感があれば実際はジーンズでもいいと思いますが、人によって受け止め方が違うので無難な指定をしています。つまりチノパンであっても清潔感のないダメージの強いものは避けましょう。現場で買い出しに行かされた不幸な例を何度か見たことがあります。

ベンチコート

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こちらは先程のペラペラジャンパーの真冬番です。内側に若干のボアが付いているのでそこそこ温かいです。真冬でずっと外にいないといけない現場の時はベンチコートを着用します。こちらも汎用性が高いので支給品ですが、気の利かない制作会社の場合はこれを用意しておらずペラペラジャンパーで無理やり乗り切ろうとする場合があります。逆にベンチコートを使うようなシーンでは、大体それでも耐え難い寒さの時です。ベンチコートがあると聞いたら自前でさらにカイロやヒートテックを用意した方がいいと思います。カイロとヒートテックで命を助けられたイベントスタッフが世の中にどれだけいたことか・・・


コンパニオンの標準装備品

コンパニオンさんはまた別の標準装備ものがあります。それは白パンプス。靴はサイズが合わせづらく支給するのが難しいため自前のものを使って頂きます。展示会などでは支給される衣装がどんなのが来るか分からないので必然的に一番無難な白のパンプスをお願いすることが多くなります。またその逆にダークスーツをお願いした場合、悪目立ちしないように黒パンプスでお願いすることもあります。画像は展示会衣装の大手カマタニさんの衣装です。
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MCの標準装備品

MCさんはまたさらに面倒なものを求められます。セミナーではスーツ系、パーティーではコンサバなんだけど少し華やかなワンピースなどのニュアンスオーダーがまかり通っています。初めての会社からのオーダーだとその感覚がわからないので、事前に写真を送ってとか、念のために2種類持ってきてとかお願いされたりします(通称ツーポーズ)。衣装費もろくに払っていないくせにです。どっちの立場だかよく分からないコメントですが。。衣装費を払っていないのであればあまり面倒なお願いはしないようにしましょう。
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まとめ

このようにイベントでは支給されるものと自前のものを使い分けてそれぞれのシーンに合わせています。

イベント業に関わる方はどんなお仕事にも合わせられるように今回ご紹介した自前衣装は用意しておきましょう。また慣れるまでは自分が恥をかかないように現場に入る前に必ずその現場のドレスコードを確認しましょう。