イベントの制作をしているとつくづくいろいろな業界のいろいろな専門知識が混ざっていて大変だと思います。自分も若手の頃は専門用語はとっても苦労しました。上司にいじわるされて、打合せの場で、「お前わかってるような顔しているけど、これの意味ほんとに分かってる?言ってみろ?」なんてことを言われて恥をかかされたものです。

自分の話はさておき、イベントの専門用語は解説するサイトはたくさんあるんですが、用語集形式になっているとなんとなく頭に入って来ないんですよね。

先日のクイズ形式は好評のようでしたので、またしてもクイズ形式でまとめてみたいと思います。
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イベントで使われる略語全て理解していますか?

今回は意地悪なアルファベットの略語問題です。制作で資料を作成する時はスペースの関係で、長い単語を略して書いたりします。資料を作成する側も資料を読みとく側も必要な知識ですので頑張って覚えましょう。


第一問「RH」とはなんのことなんでしょう?

簡単過ぎて逆に悩みますかね。答えは本当にシンプルです。直感で選んで下さい。
用例として正しいものを選んで下さい。
  1. RH前に使う備品をちゃんとそろえておけよ
  2. 舞台を染めたいんだけど、機材でRHって入ってる?
  3. 今回アーティストからの要望でRH使いたいんだけど
打合せや現場でアールエイチとは言いません。資料上にさりげなく書かれています。だいたいその流れで見れば意味が分かってなくても多分これだなって理解できると思います。


そうです、正解は 1番  リハーサル のことです。

ちなみに2番はローホリのこととして書いています。ローホリは「LHQ」、アッパーホリは「UHQ」。


第2問「SUS」とはどんな機材でしょう?

なんのジャンルの機材かを知らないと難しいかも知れません。舞台関係者は余裕ですよね。用例として正しいものを選んで下さい。
  1. ステージのSUSがヘタっているので新しいものと交換しておいて
  2. 進行的にSUSがあるので余裕を持って表彰物を並べられます
  3. 舞台上にSUSバトンがあるので、上からの明かりも作れますね
さあ、舞台進行を担当していない人は難しいですかね。進行台本にはよくこのように書かれています。


正解は 3番サスペンションライト の意味です。

サスペンションライトとフルで表現する人はむしろ少なく、略してSUS、またはカタカナでサスと書く人がほとんです。自分は照明の専門業ではないのでざっくりとした知識ですが、SUS明かりは舞台上のバトンと呼ばれるバーやトラスに吊り下げて使う照明の総称です。機材の種類としてはパーライトやムービングライトなどを吊るのですが、前から当てるピンスポ(PIN)と分ける意味で使ったりします。

SUSのことをやたらとPINと表現する制作の方もいますが、PINは大きな機材で会場機材で必ずしも用意がなかったりします。当たり方の雰囲気もかなり違うので用法にご注意を。


第3問「MC」とはなんの略でしょう?

言わずと知れた司会のことですが、一旦なんの単語の略でしょう?正しいものを選んで下さい。
  1. Master of Conference
  2. Master of Ceremony
  3. Master of Convention
似たような意味合いの言葉を並べてみました。ちなみに司会者とMCの違いってなんなんでしょうか?自分の場合、なんとなくですが、式典的なイベントでは司会者、ややくだけたイベントやフリートークがあるイベントではMCと使い分けしていますが、正解はどうなんでしょうか?


正解は 3番Master of Ceremony です。


第4問「FL」とは一体どこで使われる機材でしょう?

一番よく使われるであろうシチュエーションから最も正しいものを選んで下さい。他の選択肢でも使われるかも知れませんが、選択肢の中には間違いなく一番多く使われるものが含まれています。
  1. コンサート
  2. 展示会
  3. 演劇
そもそもFLとは何のことでしょう?これはFluorescent lampの略で、蛍光灯のことです。フルの名称は自分も今回調べてみて初めて知りました。自分も正直フロアライトだと思ってました。。客席の照明では使われているかも知れませんが、蛍光灯はコンサート演出ではあまり使われませんよね。


はい、正解は 2番 の展示会です。

展示会などで使われるブースではブース内の明かりを作るのにこの蛍光灯を仕込んだりします。メリットとしては舞台照明の様にあまり熱を持たず、広範囲にフラットにエリアを照らすことができるからです。みんなが蛍光灯と呼んでくれると嬉しいのですが、なぜか施工会社さんと話すと「FL流しときますか?」と表現してくることが多い気がします。
過去の記事でも少し触れたことがあります。気になる方は参考までにこちらもご覧ください。
【制作】制作?製作?表記のブレ問題


第5問 美術施工で使う「CS」とは何のことでしょう?

ビジネス用語の「カスタマーサービス」の方が認知されているかも知れませんが、今回はイベントの美術施工の用語です。最も正しいものを選んで下さい。
  1. シールのような出力シート
  2. ベリベリと剥がれるマジックテープ
  3. テント幕ような布
英語で表現してしまうと一目瞭然なので、それっぽい選択肢を2つ用意しました。これも会社さんによるところがあるので、うちは違うという方もいるかも知れません。ただ、このような表現をする会社さんもいるということは覚えておいて下さい。


正解は 1番カッティングシート です。

英語表現そのままの略でCSですね。カッティングシートはいろいろなところで使われています。イベントの施工を行う時、ロゴや文字を表現する時にこのカッティングシートがよく使われます。出力を行う際は、大きな面を全部印刷するかその部分だけ印刷するかで費用が大きく変わるので、大きな面にロゴを一部だけという場合はこのカッティングシートが重宝されたりします。イベント以外では車のステッカーでもよく使われたりしますね。

ちなみに2番は「ベルクロ」、3番は「ターポリン」のことです。


第6問「MA」とはどの段階で行われる映像の制作作業でしょう?

MAとは映像制作を行う際に使われる略語なんですが、行われる時期がだいたい決まっています。行われる時期として最も正しいものを選んで下さい。
  1. 最初の取りかかり
  2. ちょうど真ん中あたりでの確認
  3. 最後の仕上げ
完パケで素材をもらうだけ方はこの問題難しいかも知れませんが、実際に編集作業に立ち会われる方は分かりますよね。少しヒントを出します。MAとは「Multi Audio」の略称です。


正解は 3番 で最終段階の仕上げ作業として行われます。

MA編集とは音の調整や効果音付けやナレーターさんの音声収録を行う作業なんですが、これを行う時はスタジオを押える経費やナレーターさんの出演料などがかかりますので、行程としては最終段階に持ってくることが多くなります。

「もう直せない」というメッセージも含んだ言葉としても使われますので、編集作業自体はそれまでに完パケるようにしましょう。とはいえ、容赦なく直される場合もあるんですけどね。。


第7問「FOH」とはなんの意味でしょう?

コンサートイベントなどでよく使われる表現ですが、最も正しいものを選んで下さい。
  1. 舞台上部の通路
  2. 客席内のオペ卓
  3. 会場の2Fにある調整室
自分も音楽業界のお仕事に関わって最初聞いた時は「!?」でした。難易度高いですかね。1000名以内のホールイベントしかを行わない方には馴染みの薄い言葉かもしれません。


正解は 2番 です。Front of House という言葉の略語です。

大きな会場のコンサートで、オペ卓を組む場合にはよく使われます。シビアな音響オペレートは左右のバランスのが重要になってくるので、会場の一番真ん中に陣取ることが多くなります。お客さんと同じ環境で聞いてバランスよく調整するので当たり前といえば当たり前ですよね。


第8問 マイクでよく使われるのはどれ?

こちらも音響用語。そして数字問題です。音響用のマイクで最もよく使われるものを選んで下さい。
  1. 58
  2. 86
  3. 66
正解でない選択肢でも、もしかしたら自分知らないマイクがあったらどうしようと思って、ついググってしまいました。このマイク、誰しもイベント業に関わる方なら使ったことがあるはずです。


正解は 1番。マイクのど定番、名品「SHURE SM58」のことで、通称「ゴッパー」と言われます。

この58はとにかく頑丈で、様々なタフな条件下で使われるイベントでは特に信頼されています。音響の本質は音をちゃんと届けること。その点において、この58は最高品質であると言っても過言ではないでしょう。知らなかった方は、進行の方は音響さんが「ゴッパー」と言ったらとにかく有線マイクのことなんだなと覚えておいて下さい。


第9問「PA」とはなんのことでしょう?

こちらも音響に関する問題。パーキングエリアというボケはいりませんよ。PAが音響を意味することは皆さんご存知ですよね。そのPAとはなんの略でしょう?正しいものを選んで下さい。
  1. プログレッシブアーティスト
  2. パブリックアドレス
  3. パースペクティブアンテナ
正解でない選択肢は訳が分かりません。。恥ずかしいのでツッコまないで下さい。先程の第8問の意味をよく考えれば正解にたどりつけると思います。


そうです、正解は 2番 パブリックアドレス です。

大事なことなので2回言います。音響の本質は音を届けること。パブリックとは「大衆」、アドレスとは住所ではなく「演説」という意味です。もともとはこの演説を沢山の人に届けるために発達したものと言われています(諸説あります)。


第10問「C/S」とはどの業界で使われる言葉でしょう?

先程も美術施工でカッティングシートの略がCSと書きましたが、それとはまた異なります。これは必ず「/」が入ります。最も正しいものを選んで下さい。
  1. 映像業界
  2. 芸能界
  3. 物流業界
最後は運営に関わることがないとめっちゃ難しい問題かもしれませんね。知らない人は本当に想像すらつかないと思います。


正解は 3番。意味は ケース です。

そう、箱の数。「なんでそんな簡単な言葉をわざわざ略語にするの?」とお思いでしょうが、面倒なことに実際に使うんです。特別な意味もありません。サンプリングなどのイベントを行う時の配布物の納品数を表現する時などに使われます。運送会社さんとやりとりをする時はこの表現を使った方が伝わりやすかったりするので、キャンペーンなどに関わる可能性がある方は覚えておきましょう。



またしても難しく作りすぎた気がします。。全問正解の方いますか?全ジャンルを網羅している方は制作業としてもかなりの幅広くお仕事をされている方だと思います。自分も調べながら作っているので、逆に質問されたら多分全部は答えられないでしょう。


専門用語に対する心構え

専門用語って本当に難しいですよね。そして頭に入りづらいですよね。口頭で聞く場合、文字で見る場合、またその両方があると思いますが、制作業としてはどの角度で来られても大丈夫なように全方位的に準備をすべきではないかなと思っています。

専門の方がこのような略語や専門用語を使うのは、よく出てくるやりとりが簡略化できるという意図があります。つまりそれだけ重要なことなのです。別に意地悪で略語や専門用語を言っている訳ではないのです。

制作業に携わっている方は決して専門用語を関係者を煙に巻くために使ってはいけません。知らない方には分かりやすい表現で、知っている方には早く正確に伝わる表現で工夫して伝えることが重要だと思います。

残念ながら、クライアントに専門用語を連発して、相手を煙に巻き高い見積もりを通そうとする輩もたくさんいます。これを読まれている発注側の方は自分の知らない専門用語を連発する方には十分に注意しましょう。知識を身につけて自己防衛を行って下さい。

まだまだ覚えておくべき専門用語はたくさんあります。また別の機会で専門用語クイズを行いたいと思います。是非ご期待下さい!