洋楽のイベントを応援している自分としては、ブルーノマーズのチケットがソールドアウトになっているのは非常に喜ばしいと思っていました。先日無事イベントが開催されたと思っていたら、このニュースすごく話題になっていますよね。

イベントに携わるものとして、話題のニュースには敏感であるべきという考えのもと、さっそく自分の意見をまとめてみました。
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そもそも「LIVE中に自撮りで炎上」とはどんなニュース?

まったくご存じない方のために簡単にこのニュースをまとめてみたいと思います。
4月11日から15日にかけて、ブルーノ・マーズのジャパンツアーがさいたまスーパーアリーナで開催され、追加公演を含む全4公演がソールドアウト。女性中を中心としたたくさんの観客が会場でブルーノマーズのLIVEを楽しんだ。
まずブルーノマーズとはどんなお方かと言いますと、今年1月に開催されたグラミー賞で年間最優秀レコード、年間最優秀アルバム、年間最優秀楽曲を含む7部門を受賞されている、今最もアツいアーティストの一人なんです。

この曲聞いたことありますよね。
Bruno Mars - Marry You ※(公式が見つけられなかったのでご自身で検索を)
Bruno Mars - Just The Way You Are
Mark Ronson - Uptown Funk ft. Bruno Mars

そんな世界的に有名なアーティストが日本人の女性のある行動に激怒した、というニュースが話題になっています。
そのある女性の行動とは・・・「自撮り」です。

LIVE中にこともあろうか、アーティストに背を向け、Instagramで動画の自撮りを行っていたとのこと。この様子も動画でアップされ、ものすごい広がりを見せています。ことの真相は分かりませんが、ブルーノマーズがその行動に怒り、タオルを投げつけたと言われています。そして、投げつけられた女性はその意味が分かっておらず、タオルをもらってラッキーといったリアクションをしていたと言います。

その真相の究明はひとまず置いておいて、この行為自体をイベント屋としてどう見るべきか、落ち着いて考えてみたいと思います。


LIVE中に撮影がそもそもアリなの?

自分がこのニュースを見て最初に思った感想はこれでした。自分もやや古い人間なので「お客さんがLIVEで撮影をする」という行為自体がそもそもご法度という感覚でした。昔はカメラ機材自体の持ち込みは完全に禁止、荷物チェックの時に一時預かりになることが当たり前でした。

ただそれも少し前のルール。最近はスマホを持っていない人はほとんどいませんよね。なので、現実的にカメラの持ち込みを防ぐことは難しい状況になってきました。今は、スマホ以外のカメラの持ち込み禁止というルールに緩和される傾向にあります。

ですが、当然アーティストの撮影は別問題。持ち込みで撮っていいのは来場者同士や会場内の空間のみ。アーティストが写り込む写真は当然NG。音声も入ってしまう動画なんてもってのほかです。

本来、有料イベントにおいては会場の中はお金を払った人だけの特権空間なんですよね。それがお金を払っていない人に勝手に公開しているということ自体が営業妨害にあたると考える人もいます。映画館で流れる盗撮の注意喚起と同じ考え方です。

またアーティストの肖像権としても、撮ったものを許可なくUPする行為も問題があると言えるでしょう。ただこれらは当事者が怒ることであって、部外者がそこまで怒ることではないような気がします。


LIVEとマナー違反

ネット上の皆様やブルーノマーズのファンの皆様が一番怒っているのはそんなことではく、「マナー違反」ということ。世界的アーティストが日本に来てLIVEをやっているのに、それに背を向けて自撮りでSNS上の注目を集めようとしているのは失礼、ということだと思います。

ちなみに過去にもこんなことがありました。
2013年に行われた「サマーソニック」で”ミスチル地蔵”と呼ばれる一部参加者の行動が話題となっている。ミスターチルドレンのライブを最前列で観たいがために、その前のスマッシング・パンプキンズの演奏時から最前列を陣取っていました。ミスチルが登場するまではボンヤリと立ちすくんだり、その場に座り込むなどする姿が見られたことから、ネット上で”地蔵”と揶揄された。
この事も当時は「アーティストに失礼」ということで話題になっていました。


SNSとイベントの関係

最近SNSとイベントは切っても切り離せない関係となってきました。SNSでの情報流通が宣伝の中心となってきているのです。イベントは特に非日常感を感じることができる空間なので、いわゆるインスタ映えにはもってこいですよね。どのイベントも会場内でインスタの枠を用意したり、フォトスポットを用意したりと、SNSでの拡散を意識した空間演出を行っています。

宣伝してもらうことと引き換えに、カメラの撮影の許可範囲を緩和、その結果、イベントとSNSの距離が一気に縮まり、今までは起きなかった問題が起こってしまったのではないかと思っています。ルールを設定する側の主催者としても本意ではないでしょう。この女性に限らず、LIVE会場ではステージを動画で撮影する輩もたくさんいます。また残念なことにネット上でもたくさんその動画がUPされています。


イベントとSNSの新しいマナーづくりを

このニュースをきっかけにLIVEイベントではもしかしたら規制が厳しくなるかもしれません。またその対応にかかる費用がチケット代に跳ね返ってくることも考えられます。イベント側としては正直あまり規制などはしたくないと思っています。イベントの雰囲気を壊したくないのです。来場者側のマナーで自制できることは自制してもらえると非常に嬉しいと思っています。それを理解してマナーをキチンと守ってくれているファンも沢山います。

正直、運営側でマナー違反の対策を完璧に行うのは非常に難しいことだと思っています。この問題となっている当事者の女性も常識的な視点ではもちろん失礼だとは思いますが、本人の感覚では失礼なことをしたかったわけではなくマナーを理解していなかった、イベント会場におけるSNSの使い方を間違っただけなのかもしれません。細かいルールを明文化しても、ルールを守れない人はたくさんいるでしょう。強制力を行使するとなると、監視の増強、排除スタッフの追加などイベント全体が非常にピリピリした雰囲気になり、イベントを楽しむことができないのではないかと思っています。

そもそもイベントにおけるSNSのマナー自体がまだ確立していません。現在は個々の良識にゆだねられています。SNSがイベントとすごく相性のいいツールということは誰の目から見てもあきらかなだけに、安易に規制という方向はあまりに勿体ないと思います。

SNSとイベントの関係はまだまだ始まったばかりです。今後イベント業界が発展するようにSNSとよりよい関係を気づければと思っています。
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