出演者や関係者が多いと控室の振り分けは非常に難しいですよね。
あちらを立てればこちらが立たず。
難解なパズルをやっているようで永久に答えのない作業をしているようです。

そこで今回は、みんなが気持ちよく控室ライフを過ごせるように、控室振り分けのコツを伝授したいと思います。
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控室とはどんな部屋?

そもそも控室とはどんな部屋を指すかと言うと、
  • 出演者が本番まで快適に過ごせる
  • お弁当を食べる
  • 打合せをする
  • 着替える
  • 化粧、髪をセットする
  • 荷物(私物、出演備品)を置く
ことができる部屋のことです。

テレビ、コンサート、演劇、お芝居の業界や、その方々がよく使うイベント会場では控室と言う表現より「楽屋」と呼ぶんだ方がしっくりくるかもしれません。
ただ、今回は企業イベントも含めて伝わりやすい「控室」で表現を統一しています。

イベント会場には必ず控室がセットになっていて、それをどう振り分けるかが制作の腕の見せ所です。

控室にある設備

控室として使用するにはある程度の備品が必要になります。
まずは最大限必要と思われる設備をリストアップしてみました。
  • テーブル
  • イス
  • ソファセット
  • ハンガーラック
  • ハンガー
  • ロッカー
  • 姿見
  • 卓上鏡
  • 目隠しパーテーション
  • ステージ定点モニター
  • 電源
  • 加湿器
  • 湯沸かしポット
  • 冷蔵庫
  • 湯茶セット
  • 洗面台
  • 換気扇
  • エアコン
  • トイレ
  • シャワールーム
使う場所や時期、出演者によっては必要ないものもありますが、だいたいこんな感じです。
逆にこれらがない場合、出演者側からリクエストされる場合あります。
イメージとしてはホテルのルームにあるようなものです。

会場ロケハンをされる場合は、控室の設備としてこれらがあるかをチェックしましょう。


会場ごとに異なる控室

どんな控室が備わっているかは会場のタイプ、施設により特色があります。
その会場のメインの用途にフィットした部屋ではありますが、必ずしもその用途でなかったりします。
こちらが使う場合はうまく使いこなさなければいけません。
逆に控室環境が重要な場合は用途にフィットしない会場は選ばない方がいいという目安にして下さい。


商業施設内イベントスペース

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控室の数が少なく、そして狭いです。
この会場のメインの用途が即売会や展示、単独のお笑い芸人さんによるエンタメショーなのでしょう。
用途に合わない使い方をする場合は注意が必要です。
たいてい2つ、多くて3つ、少なくて1つというところも珍しくありません。

控室の特徴としては、「スタッフの事務室」「什器やPOP置き場を仕切っている部屋」が控室と呼ばれていたりもします。

このような会場では快適な控室空間を求めるのは諦めましょう

設備ははっきり言って充実していません。
なぜかソファだけあったりする謎空間もあります。
出演者側にも、「商業施設なのであまり快適にできなくてすみません」、とあらかじめ伝えておくことをオススメします。

ちなみに商業施設内でなくてもいわゆるイベントホール全般、控室の数はあまり多くない気がします。
設備も足らない場合が多く、イベントの都度持ち込んだりもします。

都内にやたらたくさんある某イベントホールも控室の数は少ないですね。
あの会場は会場費の割りにその辺の使い勝手は難しいです。
使われる際にはそこも踏まえて計画を組むようにしましょう。


ライブハウス・クラブ

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控室の部屋数はまず多くないと思って下さい。
大きめのライブハウス(音楽業界なら大箱と呼びます)ならそれなりに部屋数がありますが、小さめのライブハウスだといわゆる「バックステージ」の出待ちスペースを控室と呼んでいる場所もあります。
このようなところで企業イベントを行う場合は、主催者も個別の控室はないことを覚悟しましょう。

設備意外と揃っているケースもあります。
ビジュアル系バンドのためなのかメイクスペースや、複数のバンドがごっちゃに入ることを考えて鍵のかかるロッカーなどを用意しているところもあります。

変わった控室の特徴としては、控室の数が足らないと「VIPスペース」(カーテンなどで仕切っているところ)を控室で使う場合もあります。


展示会場

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控室の数としては申し分ない数があります。
ですが、こちらの場合はだいたい「会議室タイプの部屋」を控室に使っています。
タレントさんやアーティストさんが来た際、備品の追加はほぼ確実に必要になるでしょう。

また控室は個別で他の方に貸し出すこともあるので、会場押えと同時に控室も押えないと部屋が足らなくなるということもあります。
そうです、つまり控室は有料となるケースが多いのです。
予算組みの際は控室の使用料もちゃんと計上しておきましょう。


会館

市民会館などの大型のホールの場合はそれなりに控室の数、充実した控室の設備が備わっています。
よほどのイベントでない限りは安心です。

またVIPをお迎えすることも多いので、「応接室」という部屋が使えたりする場合もあります。

会場入りの裏動線も使いやすい構造になっていて、かつ化粧前も用意されている場合もあるので、大物の出演者に出てもらう時も安心して使うことができるでしょう。


ホテル

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ホテルのイベントと言えば大きな宴会場。
結婚式の披露宴や企業のパーティーなどを行う会場だったりするので、周辺の控室の部屋数は非常にたくさんあります。
大きな部屋が必要だと「小さめの宴会場」を使うこともあります。

こちらも部屋の個別売りを行っているので、早めの押え、予算確保は必要となります。

設備も部屋のグレードもかなり充実しています。
お水もホテルさんに頼めば冷たいお水やグラスとピッチャーのセットを用意してもらえます。
テーブル、イスなどの追加もお願いすれば用意してもらえるので、至れり尽くせりです。
備え付けでなくてもホテルさんに相談すれば用意してもらえることもあります。

当然一流のホテルさんはお値段も一流です。

大型の宴会場なので、バックステージは厨房になっており、ステージと控室の距離が離れていることが多いのがやや難点かと思います。
構造も複雑なので、アテンド計画や裏動線の確認もしっかり行いましょう。


コンサートホール

控室の数がめっちゃ多いです。
こんなに使わないというぐらい多いです。
オーケストラやツアーコンサート、ミュージカルなどの大型の編成で使われるぐらいなので、イベント的に使う時に部屋が足らないということはまずないと思います。

設備もすごく充実しています。
さすが用途として大物のアーティストさんや役者さんが使われるのですね。
備え付けでなくても会場さんに相談すれば隠し倉庫から用意してもらえることもあります。

部屋の特徴としては、控室もちゃんと「化粧前」(鏡にランプがついている場所)があり、ドライヤー電源も充実しているので申し分ないです。
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また広めの「リハーサルルーム」が備わっているところもあるので、使い勝手は抜群です。

運営用にもロビー近くに主催者控室とかがあったりします。
チケットのもぎりのカウントや当日券の現金管理をそこで行うこともできます。

大型の会場となると、同フロアと上下などに分かれていることもあるので、逆に多過ぎて使い分け、アテンド体制の工夫が必要かもしれませんね。
あと当然設備が充実している分、会場費が高いです。


相撲会場

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まぁ思いつくところは一つしかないですが、とにかく独特の空間でした。
控室も「畳の和室」があったり、「稽古場」を使ったりと特にかく変わったお部屋です。
(向こうの業界では当たり前の空間でしょうが)

こちらを使う場合は、出演者側も理解があるので逆に変なリクエストはされない気がします。
自分でもフェス形式のイベントで使ったことがあるのですが、某大物アーティストさんが和室でくつろいでいる様子はほっこりしました。


変な会場の変な控室

そもそも普段イベントとして使われることがないので、控室もなにもなかったりします。
地方で屋外イベントをやった時は、車で「近くの公民館」を使ったこともあります。building_kouminkan
またこれも地方ですが、物販会場として植木屋さんのスペースを借りた時は、そこを経営されているおじいさんの「お家の居間」をお借りしたこともあります。
これはこれで面白いですけどね。



この控室については長くなりそうなので、またの機会に続きを書きたいと思います。
まだ本題の振り分けの話に入れていませんからね。。

全3回の予定です。
それではまた。