今世間を騒がせている相撲の話題がイベントと関連性が高いなと思い記事で触れてみたいと思います。
皆さんこのニュースご存知ですか?
ご存じない方のためにざっくり説明しますと、
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舞鶴市で開かれた大相撲春巡業で、土俵上で倒れた多々見良三市長に救命処置を施した女性に対して「女性は土俵から降りてください」と場内でアナウンスされたことが物議を醸している。
日本相撲協会の八角理事長はコメントを発表。
「行司が動転して呼びかけたもの」として、不適切だったと謝罪した。


というニュースです。
メディアやネットでは、伝統と人命はどっちが大切だと思っているんだ!
人命の方が大切!
という論調が目立つ気がします。

自分が大相撲という特殊な場に出くわすことはかなり確率が低いと思いますが、市長の挨拶する場に立ち会うということは頻繁にあったりします。
このような、登壇者が急病、進行が続けられないという事態は人ごとではないなと感じます。




進行時のトラブル

ステージの進行をしていて、続けられない状態とはどのような事態に出くわしたときでしょうか?
考えられるだけ挙げてみます。

・予定と違うことが起きる
・マイクの音が出ない音響トラブル
・登壇者の体調トラブル
・舞台上の機材の落下
・進行中の大きな地震、火事
・暴漢に襲われる
・客席からの危険物の投下物
・テロ


というところでしょうか。
考えてみると全く起こらないということでもないですよね。

体調トラブルに関してはご年配の方がご挨拶されるシーンは多いですし、機材のトラブルはいつでも起きうる話です。
また地震も東日本大地震の時はニュースで九段会館でのイベント中の様子も何度も放映されていました。


進行トラブル時の対処方法

ケース別、程度別で考えなければいけないのですごく難しいです。
 これをうまく対処するのがイベント屋の腕の見せ所ですね。


予定と違うことが起きる

考えられることは、テープカットセレモニーのテープが切れない、くす玉が割れない、登壇者が違う、登壇者が転ぶ、表彰物が落ちる、造作物が壊れるなど。
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内容が縁起物のような「式」と名のつくイベントがこうなってしまうともう目も当てられません。
主催者、来場者、スタッフともにただただ「あーぁ」というため息ですね。
代替えのものを用意したり、MCで訂正コメントを入れたりする必要があります。


マイクの音が出ない音響トラブル

ワイヤレスマイクを使用している時に3年に一度ぐらいこのトラブルに出くわします。
過去の経験ですが、あれは本当に困りました。
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記者発表イベントだったので、マイクが出ないと取材にならず、2分ぐらい地獄の中断。
鳴り響くMCの「機材トラブルのため、今しばらくお待ち下さい」の声。
関係者全員のどうすんだこれという視線が集まりものすごい気まずい空間でした。

音響さんを焦らせても仕方ないので待つしかないのですが、原因不明の場合は待ってもどうにもならないこともあります。
その時は結局、状態が回復したので、何事もなかったかのように再開できたのですが、ダメとなった場合は自分はどんな判断をしたのだろうと今でも考えたりします。

音響さんはワイヤレスマイクの予備で有線マイクを用意しています。
人数分は揃わないかも知れませんが、どうにも回復しないようであれば有線マイクを回しながら対処しましょう。

ちなみに照明や映像のちょっとしたトラブルでは進行は止まらない事が多いです。
(照明も完全に暗転になってしまったり、映像も上映会のイベントの場合を除く)

もちろん空間として違和感はあるかも知れませんが、最低限マイクが使えればイベントは進行でます。


登壇者の体調トラブル

件のこのケースですが、大相撲の時は医療従事者が近くに数名いたようなので、その場での最悪の事態は防ぐことができましたが、いつもいる訳ではありません。
自分が進行するイベントの時にこうなってしまったらを想像すると正直鳥肌が立ちます。
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セオリー通りの対応ではもちろん119番をかけ、救急車を要請しましょう。
ただし、ニュースの時のように明らかに危ない事態と分かれば良いのですが、そうでない場合はイベントが中止になるかもしれない非常に重要な判断です。
もしかしたら、ただの貧血だった、なんてこともあります。

人命優先というのはもちろんよく分かるのですが、重症度の判断は素人が反射的に行うのは非常に難しい気がします。
「伝統を守る」≒「進行を妨げる」と考えると自分が最適な判断が下せたか分かりません。

判断が難しい場合は最悪の事態を想定した行動をしましょう。

そして主催はそれによる中止リスクも必ず頭に入れておきましょう。


舞台上の機材の落下

ステージでは経験はありませんが、イベント全体としては経験があります。
メイン動線ではなかったので、その部分をコーンとロープで囲っておしまいだったのですが、ステージではそうはいきません。

ステージの場合、照明機材、看板類、施工物が落下する可能性のある機材が落下する可能性があります。
他に危ないところがないか同様の箇所を点検する必要があるので、問答無用で一時中断ですね。
けが人が出たら問答無用で中止ですね。

その後は誰が悪いのかで責任追及になるのは致し方ないでしょう。
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進行中の大きな地震・火事

東日本大震災では経験した方が多いかも知れません。
その時は全国各地で「どうする?どうする?」という事態になっていたと思います。
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自分の場合はイベントの本番前日に地震が起こりイベント自体が中止になりました。
ですが、日曜日に大阪で行ったイベントは無事開催され、不安な気持ちで新幹線に乗ったのをよく覚えています。

地震に関しては、発生したらイベントなんてやっている場合ではなく、すぐに避難するというのが常識と思われていますが、実際はそんなに簡単ではありません。
ケースに応じて非常に難しい判断 が必要になると思います。

体感地震で震度が低いときにも避難しますか?
避難誘導を始めたら確実にイベントは「中断」ではなく「中止」になります。
では、軽い地震で一旦「中断」した後に、どのタイミングで「再開」しますか?
地震がもう来ないって誰が断言できるのですか?

こちらは長くなりそうなので、また別の機会にじっくりと書きたいと思います。


その他(暴漢に襲われる・客席からの危険物の投下物・テロ)

このケースはそもそも要警護対象の方がなる場合が多いと思います。
その際は必ずSPや警備、所轄の警察の方が入っているので、その方々とよく相談しましょう。
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そうでない場合は、政治的なメッセージを発信する場合で主催者側にも心当たりのあると思いますので、判断の仕方をよく相談しましょう。



緊急時の対処のポイント

ここまでいろいろなケース別でまとめてきましたが、共通して言えることがあります。

主催者の判断

トラブルが起きた場合は、「進行しながらの対処」「中断」「中止」「再開」の判断が求められます。
このような場合、必ず主催を交えての判断が必要になります。
主催はどんなイベントでも必ず連絡のすぐつく場所にいるようにしましょう。
できれば、判断できる主催責任者がステージの下手袖にいるが望ましいです。


緊急時の事前の取り決め

トラブルは起きてからのあわてて対処するのでは遅いのです。
判断後も意思統一された迅速な対処が必要となります。

起きてから、「どうします?」と協議している時間はないと思いますので、各ケースにおいてどのような判断をすべきか 事前に意見交換 を行いましょう。

それがなされていないから今回のニュースのようなことになってしまうのだと思います。
伝統と人命はどっちが優先されるべきか、考えればすぐ分かることはではありますが、事前の取り決めがなされていないから、意思統一ができていない対処となってしまったのでしょう。
協会もすぐに謝罪していますし、アナウンスされたを責めるのは酷だと思います。

特に、イベント業界では義務のように
急時対応を載せているマニュアルを見ますが、通り一遍のことを載せているだけではまったく意味がありません。



今回はニュースを見て、このようなことを感じました。
自分はイベント屋として、急病が発生した時も一時対処ができるように人工呼吸、心臓マッサージ、AEDの操作法は勉強しておこうと強く感じました。