別に誰が偉いとか偉くないとかってわけではないのですが、その場において立てるべき人、意見を尊重すべき人というのは確実にいます。
ただ。イベントではいろいろな会社が入り乱れて、誰を立てて、誰に気軽にお願いしたらいいのか分からなくなるケースがたくさんあります。

今回はよくあるイベントのシーン別でパワーバランスを整理してみました。
古い考え方のものもありますし、イレギュラーケースもたくさんあります。
今回の記事はあくまで初心者向けとして参考程度にご覧下さい。
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ブランディングイベント

ブランディングイベントとはその企業が自費で自社のイメージアップのために行っているイベントです。
発表形式のものはプライベートショーと呼ぶこともあります。
具体的には展示会や記者発表、プロモーションイベントがこれにあたります。

その場においてはズバリ、お金を出している人が一番尊重されるべきです。
つまりクライアントです。
代理店によっては得意先(略してトクイ)とか呼んだりするところもあります。

構造としてはシンプルで、

クライアント>クライアント広告担当>広告代理店>イベント制作会社>現場スタッフ

というような直列構図です。
昔は自分が現場スタッフとして入る時はクライアントとは会話をすることもはばかられるような関係の案件もありました。


広告代理店はCMやWEB、店頭プロモーションなど全ての広告領域を統括していて、クライアント年間数億~数十億の取扱高をもらっています。
そのため全てのことにおいてものすごい慎重になります。
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クライアントをなだめすかして、並々ならぬ努力でやっとイベントの実施にこぎつけたのに、現場スタッフの浅慮でクライアントのご機嫌を損ねてしまい、じゃあ代理店変えよっととかになったら会社としての損失は計り知れません。
このようなお仕事の場合、クライアントの意見は絶対で、「NO」とは口が裂けても言えません

これ理屈としては理解できるのですが、実際はどうなんでしょうか?
経験上あまりクライアント自身はそんなこと気にしていないような気がします。
むしろ最近はできないことを隠したことで、後で面倒なことが起こり、現場サイドとの意思疎通の不一致でトラブルになるケースのが多いのではないでしょうか?
年々このような過剰防衛は減ってきているような気がします。

ただ、どの程度ぶっちゃけた話をしてよいかの感覚を掴むためには何度も打合せをしたり、一緒にイベントを経験しないと分からないことです。
現場で起きた分からないことやできないことは、その場でNOと言ってしまうと間に入っている方々の今までの労力やメンツを潰してしまいます。
(それ自体が時代遅れな気もしますが・・・)
関係値をちゃんと掌握するまでは、上の立場の方と相談しながら対応しましょう。

いずれにしても、お金を出している人がそのイベントの全責任を追うので、その方の意見を最優先に判断を行う必要があります。



協賛イベント

ここからがやや複雑になってきます。
協賛イベントとは、大きなイベントを主催している興行主がいて、その中で協賛者として参加し、相乗りでイベントを行う形式です。

この場合の構造はこんな感じです。

主催(興行主)≧協賛者(広告主)>協賛者広告担当>広告代理店>イベント制作会社・・・

興行リスクを背負ってイベントを開催する会社がこの形式においては一番尊重されます。
協賛者はその場でPRする対価として、イベントにお金、もしくは商品、もしくはサービスを提供しています。

「>」ではなく「≧」にしたのは理由があります。
それはイベントにたくさんお金を出している場合、限りなく主催に近い立場になるからです。
協賛にも提供する金額などに応じてランクがあり、

冠協賛:タイトルの一部にPRしたいものの名前が入る
上位協賛:会場内もしくは露出するPR媒体でのフルPR
中位協賛:会場内だけのPR
下位協賛:会場内の一部にロゴ掲出


などと分かれていたりします。
それに応じて対処も変わってきます。
この冠協賛の場合は、ほぼ主催と言っても過言ではないぐらいのお金を出しているケースもあり、主催がやることに意見したりもします。

この構造は株式会社さながらですね。
持ち株比率の高い人がそれに比例して発言力を持つという形です。
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とはいえ、そこまで単純でもなく、ここに宣伝協力のメディアが入ったり、イベントのコンテンツホルダー(権利者)が入ってきて非常に複雑になります。
リスクを背負う、コンテンツを貸し出す、協賛金を出す、技術協力する、商品を提供する、自社媒体に掲載しPRに協力する、人材協力する、会場を提供するなどなど、絡んでくる要素はいろいろあります。

ですが、最も重視するポイントは、

イベントの貢献度の総合成績の高い人の意見が尊重されるということです。

言い方を変えると、協力が必須なのか、プラスアルファなのかで変わってくるということです。

いやー、書いておきながら関わりがこれを理解するのは難しいですよね。
おそらく全員さぐりさぐりやっていると思います

このあたりは実行委員会形式についての記事を今度まとめようと思っているので詳しくはその時にでも。。

まだまだ続きます。


表彰イベント
優秀な方を褒め称えるイベント、それが表彰式。
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今までは主催とそれ以下という構造だったのが、主催が受賞者をおもてなしするという考え方が入ってきて面倒になってきます。

意外かもしれませんが、そもそも表彰式というイベントはあまり単独では行われないんですよね。
アカデミー賞授賞式みたいなケースは非常に特別ですが、だいたいが大きなイベントの中で行われています。
いわゆるイベント内イベント。
周年の記念式典や社員全員が集まるキックオフミーティングなどの1プログラムとして行われます。

このケースは広告代理店マターでない場合が多いので、構造としてはそこを省きつつもう少し細かく整理します。


社員表彰
来賓(受賞者)≧主催責任者(社長など)>主催会社の人事、総務>制作会社

社員のモチベーションアップが目的となるため、会社の人事、総務が主導権をとっています。
逆に、ここまで紹介してきたケースは全て広告領域だったので外部の一般の方に向けているイベント、そのため広告担当者が中心になって行っています。


販売担当者表彰
受賞者(販売担当者)≧主催責任者(社長など)>主催会社の販売支援部署>制作会社


このケースでは表彰をされる人が販売担当者になります。
つまり外部と言えど自社の製品を売ってくれている身内にあたる方々が対象になります。
そのため、会社の販売支援が目的となるので販売支援部署が主導権をとっています。
このイベントにおいて尊重されるべきは招待者にあたる受賞者です。


社員表彰と販売担当者表彰の違い

社員の表彰の場合はなんとなく分かりますよね。
いつもうちの会社のために頑張ってくれてありがとう!
成績優秀な人を褒め称えます。
おめでとう!となります。

ですが、販売担当者の表彰の場合は会社単位で言うと、社会の構造を知らない人はちょっと「!?」となったりします。
メーカーにあたる会社は販売店に頭が上がらないのです。
超有名な家電メーカーもビックカメラやヨドバシカメラなどの家電量販店は自社の商品をたくさん取り扱ってくれる超お得様にあたります。
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大体のケースがこれに当てはまりますが、販売担当者のが圧倒的に立場が強いのです。

・家電メーカーと家電量販店
・出版社と書店
・車メーカーと街の販売店
・ドリンクメーカーと街のスーパー
・アルコールメーカーと街の酒屋
・保険屋さんと保険の営業代理店

話を戻しますと、販売担当者の表彰式とは主催者がこのような関係の方々をおもてなしをするイベントなんです。
つまり、僕らが尊重しているクライアント自体が気を使っている受賞者の方々を接待するのを手伝うという二重構造。
そのため、ものすごく気を使います。


3つのイベントの形式におけるパワーバランスについてご紹介させて頂きました。

もちろんこれにあてはまらないイベントの形式もたくさんありますので、それはまたイレギュラーケースとして別の機会でご紹介させて頂きます。