今回はプロっぽい機材「トランシーバー」のプロっぽい使い方を伝授したいと思います。

machine_transceiver
イベント会社の方やイベントに携わった方は使ったこと多い人ですよね。
使っている姿はかっこいいですよね。
今回はそんなトランシーバーの使い方の初級編から上級編までをご紹介したいと思います。


初級編 ~知ってて当然の基礎知識~

・電源の入れ方
 音量のボタンをひねって下さい。
 この時に音量レベルを上げすぎて爆音にならないようにう注意しましょう。
 機種によっては電源っぽいボタンを長押しして下さい。

・イヤホンの付け方
 グラグラしないようにしっかり固定して下さい。
 個人的には耳にフィットせずすぐ落ちてしまうタイプのものもありますが、
 ここは出たとこ勝負ですね。

・マイクの付け方
 ジャケットなどを着用されている場合はジャケットの内側から襟元に出るように
 取り付けて下さい。
 ケーブルが外をたくさん這っているのはあまり好ましくはありません。
 マイクはできるだけ口元に近くに設置しましょう。
 作業中でマイクを押し付けてしまい、ボタンを押しっぱなしになることがあるので
 ご注意下さい。(聞かれて困るようなことをだだ漏れで発信してしまう事態も・・・)

・発信、応答の仕方
 マイク部分のボタンを押して発信するのですが、同時発信ができませんので、
 相手の会話が終わってからボタン発信しましょう。
 かぶったタイミングでは声は聞こえていません。
 ボタンを押してから反応するまで少し時間がかかります。
 1秒程度間を開けてから声を発して下さい。

・マナー
 トランシーバーはたくさんの方が同時に聞いています。
 だれが発信しているか分かるように自分が誰であるか、誰宛の内容であるかを
 明確にしましょう。
「運営Dの◯◯です。◯◯さん今よろしいですか?」
「進行の◯◯より全体にお知らせです。現在ステージは5分押しです。」など


このあたりまでは周りの人が使っている様子で大体わかりますよね。
ここからは使いこなすための中級編です。


中級編
 ~これを知ってたらイベント屋~

・トランシーバーの配り方、回収の仕方
 どれが持っているか分からなくなる場合がありますので、
 運営マニュアル上で所持者のリストを整理しておきましょう。
 配る時も回収する時もそのリストをチェックすることで、渡し漏れ、不足、
 紛失確認ができます。
 ちなみに1つなくすと数万円かかるので、最後の所持者探しで運営担当の
 新人さんが歩きまわっている姿をたまに見ます。
 あとはトランシーバーでもう使用しないので回収します宣言をすると
 親切だったりします。
  「トランシーバーを回収しています。まだつけられている方はどなたですか?
  発報をお願いします。」

・系統分け
 やり取りする内容や人数に応じてグループ分けをするケースが多いです。
 一番多いのが主催とそれ以外で分ける2系統、それと主催と運営と進行の3系統、
 さらに出演者誘導で4系統、警備を加えて5系統、駐車場で6系統・・・
 とやたら分けたがる方もいますが、分ければ分けるだけハブになる人が2台持ちになり、
 トータルの台数が増え、やり取りが複雑になります。
 経験上は5~12台で役割に応じて分ける程度が望ましいと思います。
 逆に20台以上なのに系統を分けないというカルチャーの会社もあります。
 使いたい時に使えず困るときが多いので僕はあまり好きではありません。

・メンテナンス
 時折あるのですが、相手の声は聞こえるのですが自分の声が伝わっていない、
 またその逆。
 トランシーバーのパーツのイヤホンマイクは本当によく調子が悪くなります。
 レンタル品ではなく、会社所有のものを使用する時は30%ぐらいの確率で調子が
 悪かったりします。
 会社所有でまめにメンテナンスしている会社はいいイベント会社ですね。

・メーカー
 いろいろなメーカーさんからトランシーバーが出ていますが、
 一番多いのがモトローラ。
 特にGL2000は最頻出トランシーバーで信頼度も高いですね。
toransiber5w
 機能もシンプル、耐久性抜群、使い方もオーソドックスなので使用する時に
 悩むことがないのがポイントです。
 4Wの出力で遠くまで飛びますが、重いのが難点ですかね。

 あとはアイコム。
 最近はこちらか、近いタイプのものを見かけることが多いですね。
 5W出力のものもあるそうですが、4Wと5Wの差は正直わかりません。。
 液晶がついているものもあり、ボタン長押しでチャンネルロックが
 かかるものもあります。
 ※モトローラさんでも液晶付きはもちろんあります。
   trn_1539874123

 たまに見るのがケンウッド。
 僕は正直めったに見ないですが、レンタル品の候補で上がってきたりします。
 使い勝手はどうなんでしょうか?むしろ気になります。
 この3社はであればおそらくどちらの会社でもいわゆるトランシーバーとして
 申し分なく使用できると思います。

 そういえば最近方式がアナログからデジタルに変わりました。
 昔はノイズがのりながら聞こえたものが、今は聞こえる時は聞こえるが
 聞こえない時は全く聞こえなくなりました。
 デジタルは話すタイムラグも1秒程度あります。(目の前で話すと気持ち悪い)

 ただいまだに重い、でかいという点では劇的な変化は起きていないので、
 iPhoneぐらいのサイズでハンズフリーのワイヤレスイヤホンで周囲の
 音取り込みのできるzolo libertyのようなトランシーバーができることを期待しています。
 https://jp.zoloaudio.com/pages/liberty

 あと機材というより通信機能としてはIPシーバーが最新かと思います。
 携帯の電波網を使っていてどこにいてもつながってしまいます。
 逃げられません。
 嫌ですが、東京大阪名古屋で同時に情報共有ができてしまい、
 今後ディレクター1人がモニターを見ながら指示を出したりする日も
 来るのでしょうか。。
 ちなみにiPhoneアプリでも近いものはあるのですが正直使い勝手が微妙です。

・話す量
 一人が話していると他の人が発信できないことがあるので
 要件をコンパクトに話しましょう。
 自分もたまに反省しますが、相手が見えていない場所の状況を伝えながら
 判断を聞いたりするので、その状況説明が長くなったりします。
 長い会話が必要な場合は「電話します」「LINEします」と言ってすぐ切るか、
 「現在地どちらですか?行きます」などで直接話しをして下さい。

・手配先
 トランシーバーってどの会社にレンタルを依頼するか微妙な領域だったりします。
 通信するので音響さん?使い人が多いので運営さん?レンタル品なので
 リース会社さん?皆さんは普段どうしてますか?
 僕のおすすめは制作会社さんです。
 理由は配る時に使用者全員の顔や役割を把握しているからです。
 レンタル会社さんはもちろん持っていますが、機材屋さんというわけではないので、
 機材の種類も少なく、金額も高くなりがちです。
 ネットで調べるとたくさんトランシーバーのレンタル専門の会社が出てくるので、
 そちらで手配することをおすすめします。
 なお、安いからって省電力のものを使用すると届く範囲が狭いので気をつけて下さい。
 狭い範囲で使うのであれば省電力もありだったりします。


そろそろ上級編にまいります。


上級編 ~できる!と思われるトランシーバーの使いこなし~

・配るタイミング
 実は設営時にあると便利だったりします。
 手配先によっては搬入時の後半に配られることもあるのですが、
 搬入時は状況が一気に広範囲に動くので、早めに配っておくと走り回らずに済みます。

・オープン使用
 控室などでイヤホンをつけずにラジオのようにスピーカー状態にして
 使用することです。
 耳の負担をかけずに周りの状況を聞くことができます。
 場所の動かなくていい本部や控室管理、警備のポジションの方が
 このように使っている場合が多いです。
 諸刃の剣の要素は聞かれて困る内容も筒抜けだったりします。
 トラブルというわけではないのですが、慌てていたりたまにいるドジな
 スタッフの様子をクライアントさんに伝えたくない場合は気をつけて下さい。

・発信のタイミング
 いわゆる空気を読むということに尽きるのですが、
 使用しているメンバーの役割を考えて、発信するタイミングを選んで下さい。
 特にステージ本番直前は開演時間の判断を出すことが多く非常にピリピリします。
 このタイミングでの重要度の低い会話は避けましょう。

 過去にカウントダウンで照明を点けるイベントをやっている最中に、
「お忙しいところすみません、今ちょっとよろしいですか?」とシーバーを
 飛ばしてきた新人がいました。
 今となっては笑い話ですが、当時は「これ以上忙しいタイミングないだろ!」と
 つい怒鳴ってしまいました。
 全体の会話の流れを聞いていたり、着用者の役割を考えないといけないので、
 案外高等テクニックなのかもしれません。

 下記の状況の時は重要度の低い会話、長い会話を控えて下さい。
 例) 進行もトランシーバーを使っている時の本番直前
    数字カウント時の数字確認時
    出演者や偉い人たちの入りのタイミング時
    事故などの重大トラブル発生時 など

・優しい予告発信
 基本的には上位のディレクターやクライアントに判断をもらうために
 使用するのですが、欲しい情報を聞かれる前に発信することで、
 あわてずスムーズに対応できるようになります。
 例をあげますと、
 進行ディレクターが「進行状況の共有です。現在5分巻きで進んでいます。
 休憩入りが早まるのでロビー対応のスタンバイよろしくお願いします。」
 という感じです。
 映像さんがセミナーの進行時に「スライド枚数残り5枚です」というのも
 同じ感じですね。
 先程の発信してはいけないタイミングの時も、
 「まもなく本番前なので5分間発信を控えて下さい」と全体発信すると
 親切だったりします。
 このように優しい予告発信ができるディレクターさんはすごく評判が良いです。
 ただやりすぎると、仕切ってる感がウザいと思われる場合もありますので、
 あくまで最小限を心がけつつという基本を守りましょう。

・予備バッテリー交換
 使用可能時間は使用方法によりブレがありますが、だいたい5時間前後で
  「プップップ」とアラーム音が聞こえます。
 これが重要なタイミングで来るとまあ大変。
 ということで気の利く運営会社さんはバッテリーが切れそうになる前に
 充電のバッテリー交換に来てくれます。
 新人さんはこれを指示されずにやっていたら「あいつはできる」と
 評判が上がること間違いなし。


どうでしょう。
中級〜上級編は案外やっていない人も多いのではないでしょうか。
皆さんのトランシーバーライフに是非お役立て下さい。