って江戸時代かよっ!と、初めて聞いた時思ってしまいました。

イベント業界キャリアの長い方はご存知ですよね、この言葉。イベントのお仕事をしているとごくたまーに出てくるマニアックな言葉シリーズのお時間です。今回は「介錯(かいしゃく)」という言葉に切り込んでいきたいと思います。

「介錯」とは

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この言葉は時代劇なんかを見ているとよく登場するのですが、武士たちが切腹するときに、苦しまないように一思いにとどめを刺す行為としてよく知られています。イベントもセレモニーとして切腹をよく行うのですが、、って、んなわけありません。

もしかしたら言葉の深いところの意味では同じかもしれませんが、使われ方は全然違います。イベント業(おそらく舞台用語から来ていると思いますが)ではこのような意味で使われます。

「介錯」・・・お手伝いをする

ニュアンスの補足はあるのですが、概ねこんな意味です。そう考えると、切腹の時に死のうとする時のお手伝い、という意味では納得する部分もあります。

使われる場所は舞台とその周辺です。運営では聞いたことがありません。パッと聞いた時には言葉から意味が想像しずらいので、進行のお仕事に関わられる方は知っておいた方がいい言葉でしょう。

ではここからはイベント業でどのように使われるかさらに詳しく解説していきたいと思います。


「介錯」が使われるシーン

自分が一番よく聞くのは表彰式です。表彰式では受賞者はたくさんのものをもらいますよね。
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もらうものは表彰状、トロフィー、花束、記念品などなど。チーム表彰でない限り一人でこれを受け取るのですが、当然手は二つしかないので複数ある場合は受け取りきれません。受賞されていない方からしたら贅沢な悩みですが。でも実際に結構困るんですよ、これ。
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そんな時にスタッフが表彰物を一旦預かり、手を空けて受賞者が次のものを受け取る。その預かる作業を「介錯」と表現したりします。

ベテランの進行さんが表彰のアシスタントをしてくれるコンパニオンさんに、「花束を介錯して」とか言ってて、コンパニオンさんが「!?」となっているシーンをたまに目にします。あんまりメジャーな言葉ではないので使う時には注意が必要です。

先程お手伝いと表現しましたが、ニュアンスとしては「次のアクションやシーンに邪魔なものを一旦(一時的に)どける」という感じが一番近いかもしれません。一旦というところがポイントで、そのままなくすわけではなく、元に戻したりする意味も含んでいます。完全になくす場合は「ハケる」と言います。「受賞者の花束を介錯して」というのは、一旦花束を預かり、後に本人に返すという意味となります。

その他の場面ではさらにレアケースですが、ケーブルの介錯とか、幕の振り落としをした時に幕を少しどける(ハケるほどでもない時に)という意味で使っているのを聞いた気がします。


「介錯棒」というものもあります

意味を考えるとちょっと「?」ですが、これも代表的な「介錯」という言葉の使い方のひとつです。照明さんが使うフック付きの長い棒で、バトンなどに吊っている照明の角度を変えたりする時に使われます。これです。
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灯体を吊り変えたりする時はバトンを下げて調整するのですが、そこまでの作業でもない時はこの介錯棒を使います。自分は制作が本職なので、この介錯棒が誰が所有していてどこに収納されていてとか、伸縮するとかフックに種類があるとかなどの詳しいことはよく分かりませんがそういうものがあるということは理解しています。



と、今回は手短ですが、「介錯」という言葉について解説しました。いかがでしたでしょうか?ベテランの進行さんから言われた時にギョッとしないために頭の片隅に入れておきましょう。

それでは今回はこのへんで。