「チケット転売規制法」についてホットなニュースなので少し解説したいと思います。チケットの転売はコンサートやスポーツなどの興行イベントにとって切っても切り離せない問題ですよね。東京オリンピックに際し、ようやく国が本腰を入れて対策を行うようです。
そもそもこの「チケット転売規制法」とはどのようなものなのか、今までどのようなことが問題でこの法律で今後どうなるかなどを分かる範囲で解説したいと思います。
コンサートやスポーツイベントによく行く方はご存知かと思いますが、人気のチケットというものはなかなか手に入りづらい状況にあります。会場のキャパ設定が適正であればよいのですが、大きな会場ともなると会場を押さえるタイミングが半年~1年前となるため、その時の状況が予測できず、だいたいこんなもんだろということで会場を押さえます。その後、計画がまとまり、チケット販売を行うのですが、予測に対して当然大きい小さいなどの誤差が生じて、その分チケットが手に入りづらくなるケースが生まれるということですね。
この誤差を調整する方法がやや大きめなら、機材席を増やしたり、2階席を潰したりで調整をするのですが、会場費は固定費で発生するので、イベント収支は赤字になるリスクが生じます。そのリスクのバランスを見て、やや少なめのキャパで設定することが通例だったりします。ガラガラの会場だと雰囲気にも影響出ますし、演者さんのモチベーションも上がらないですからね。そういえば最近某大御所のアーティストさんがそれでイベント中止にしてましたっけ。
それに加えて、昨今の会場不足問題。きっともっと大きな会場でも埋まるだろ、という予測があっても必要なキャパ自体が押さえられない。小さめの会場を押さえざるを得ない。といった状況も生まれています。そのため希望者に対してキャパが足りず、通常のチケットもプラチナチケット化してしまうという事態が発生しています。
上に書いたような状況に加えて、さらに人為的に発生しているのがチケットの転売問題です。チケットの希少価値が上がれば上がるほど高値でも行きたいという方が現れます。その心理を利用して、行くつもりもないのにチケットを確保して、それを元値以上の価格で転売します。その差益で儲けているという個人や業者(いわゆるダフ屋)がたくさんいることがかねてより問題視されていました。そのために興味もないのにファンクラブに入り、ファンクラブ先行で販売されるチケットを入手したりする方もたくさんいます。
2016年にはコンサートプロモーター各社が連名でこのような新聞広告を出していたこともあります。
ただ実は主催者が少しこの問題の腰が重かった時代もありました。それは何故かと言うと、ダフ屋であってもチケット自体はちゃんと購入されているという現実があります。主催としてはチケットが実際に売れるかどうかのリスクは嬉しくなかったりします。
もちろん良くないこととは分かりつつも、ダフ屋がそのリスクをある程度引き受けてくれるという保険があるというのはちょっとした安心材料にはなります。ダフ屋側で売れ残ったチケットは、チケットは売れているが当日来る人がいないという状況にはなりますが、売上はちゃんと上がります。そんな意識が少しあったのではないかと言われてもいます。
で、現在に至るわけですが、東京オリンピックでも同様のチケット転売問題が発生するのではとの懸念もあり、ようやくこのチケット転売規制法の成立となるわけです。「チケット転売規制法」は通称で、正式名称は「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」。な、長い。。これで少しは状況が改善されるのではないかと期待が高まります。
そもそもまだ施行されていません。施行はオリンピックを意識しした法律なので、2019年春頃の折ピックのチケット販売時期に合せて行われる可能性が高いのではないかと思います。
「演劇や音楽、スポーツなど」とありますね。オリンピックやコンサートなどは間違いなくこれにあたります。ただいじわるな見方をすると、オリンピックの開会式などの式典はどうなんでしょうか?この「など」にちゃんとあたるのでしょうか?セミナーイベントやトークショー、展示会イベントの場合はどうなるか補足説明が欲しいところです。
続いて、「入場券」とあります。ん?入場券のみ?そうなんです。この法律をそのまま読むと適用されるのは入場券のみのようです。グッズの転売には今のところ適用されない法律のようです。ここまで来たらちゃんとグッズの転売も範囲に入れて欲しいのですが。。
「利益を得るために」と続きますが、利益のためでなければ良いのでしょうか?純粋に個人間の交換ということならお目溢し範囲になるのでしょうか?施行に際してどこまで厳しく運用されるか気になるところです。
「定価を超える価格で転売」することを禁止と明確に表現しています。なので、定価以下の金額で取引することに関しては問題ないようですね。「超える」という表現なので、定価は含まれないはずです。なので、定価で転売することはOKとなるようです。これなら行けなくなった方が交換として定価で転売することも許されるようですね。
「懲役1年以下か罰金100万円以下の罰則」と罰則規定もちゃんと設けられています。この設定なら捕まった時のリスクを考えたらダフ行為を行う人は間違いなく減ることでしょう。
一見良いことづくめのと思われる法律にもきっと抜け道が出る可能性は否定できません。どの程度の厳しさで運用されるかも未知数です。もともと高額でも買いたいという人がいるという需要があるので、法律をかいくぐる手段を考える人はきっと出てくると思われます。
この転売問題を解決するには、「国」の法整備(監視と運用の強化)、「主催者」の個人認証などの対策、「ユーザー」の転売を利用しないというモラル向上の3方向からの対策が必要なのではないかと思います。チケットは今までのような紙のチケットが随分減り、電子チケット化が進みつつあります。それに伴い、スマホを利用した個人認証の仕組みは最近非常に進化し、今後うまく活用することでほぼパーフェクトな対策もできるようになるのではと期待しています。オリンピック後、イベント業界は大きく変わるかもしれませんね。
ということで、2018年11月現在のチケット転売問題とチケット転売規制法について解説してみました。また情報が出てきましたらあらためて解説したいと思います。それでは今回はこのへんで。
そもそもこの「チケット転売規制法」とはどのようなものなのか、今までどのようなことが問題でこの法律で今後どうなるかなどを分かる範囲で解説したいと思います。
チケット転売問題の現状
コンサートやスポーツイベントによく行く方はご存知かと思いますが、人気のチケットというものはなかなか手に入りづらい状況にあります。会場のキャパ設定が適正であればよいのですが、大きな会場ともなると会場を押さえるタイミングが半年~1年前となるため、その時の状況が予測できず、だいたいこんなもんだろということで会場を押さえます。その後、計画がまとまり、チケット販売を行うのですが、予測に対して当然大きい小さいなどの誤差が生じて、その分チケットが手に入りづらくなるケースが生まれるということですね。
この誤差を調整する方法がやや大きめなら、機材席を増やしたり、2階席を潰したりで調整をするのですが、会場費は固定費で発生するので、イベント収支は赤字になるリスクが生じます。そのリスクのバランスを見て、やや少なめのキャパで設定することが通例だったりします。ガラガラの会場だと雰囲気にも影響出ますし、演者さんのモチベーションも上がらないですからね。そういえば最近某大御所のアーティストさんがそれでイベント中止にしてましたっけ。
それに加えて、昨今の会場不足問題。きっともっと大きな会場でも埋まるだろ、という予測があっても必要なキャパ自体が押さえられない。小さめの会場を押さえざるを得ない。といった状況も生まれています。そのため希望者に対してキャパが足りず、通常のチケットもプラチナチケット化してしまうという事態が発生しています。
チケット転売問題とは
上に書いたような状況に加えて、さらに人為的に発生しているのがチケットの転売問題です。チケットの希少価値が上がれば上がるほど高値でも行きたいという方が現れます。その心理を利用して、行くつもりもないのにチケットを確保して、それを元値以上の価格で転売します。その差益で儲けているという個人や業者(いわゆるダフ屋)がたくさんいることがかねてより問題視されていました。そのために興味もないのにファンクラブに入り、ファンクラブ先行で販売されるチケットを入手したりする方もたくさんいます。
チケット転売問題への対策
スポーツイベント業界はあまり詳しくないので、コンサート系を前提にお話しますが、今では主催関係者やイベンター、オークションサイトもいろいろな対策をとっています。価格設定の調整、個人認証システム、交換システムの構築、転売サイト監視、大量出品者へのアカウント規制などを行っています。2016年にはコンサートプロモーター各社が連名でこのような新聞広告を出していたこともあります。
ただ実は主催者が少しこの問題の腰が重かった時代もありました。それは何故かと言うと、ダフ屋であってもチケット自体はちゃんと購入されているという現実があります。主催としてはチケットが実際に売れるかどうかのリスクは嬉しくなかったりします。
もちろん良くないこととは分かりつつも、ダフ屋がそのリスクをある程度引き受けてくれるという保険があるというのはちょっとした安心材料にはなります。ダフ屋側で売れ残ったチケットは、チケットは売れているが当日来る人がいないという状況にはなりますが、売上はちゃんと上がります。そんな意識が少しあったのではないかと言われてもいます。
2018年11月30日 チケット転売規制法が成立
で、現在に至るわけですが、東京オリンピックでも同様のチケット転売問題が発生するのではとの懸念もあり、ようやくこのチケット転売規制法の成立となるわけです。「チケット転売規制法」は通称で、正式名称は「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」。な、長い。。これで少しは状況が改善されるのではないかと期待が高まります。
チケット転売規制法はいつから施行?
そもそもまだ施行されていません。施行はオリンピックを意識しした法律なので、2019年春頃の折ピックのチケット販売時期に合せて行われる可能性が高いのではないかと思います。
チケット転売規制法とはどんな法律?
演劇や音楽、スポーツなどの入場券を、利益を得るために定価を超える価格で転売することを「不正転売」として禁止。違反者には懲役1年以下か罰金100万円以下の罰則とのことです。少しづつ噛み砕いていきましょう!
「演劇や音楽、スポーツなど」とありますね。オリンピックやコンサートなどは間違いなくこれにあたります。ただいじわるな見方をすると、オリンピックの開会式などの式典はどうなんでしょうか?この「など」にちゃんとあたるのでしょうか?セミナーイベントやトークショー、展示会イベントの場合はどうなるか補足説明が欲しいところです。
続いて、「入場券」とあります。ん?入場券のみ?そうなんです。この法律をそのまま読むと適用されるのは入場券のみのようです。グッズの転売には今のところ適用されない法律のようです。ここまで来たらちゃんとグッズの転売も範囲に入れて欲しいのですが。。
「利益を得るために」と続きますが、利益のためでなければ良いのでしょうか?純粋に個人間の交換ということならお目溢し範囲になるのでしょうか?施行に際してどこまで厳しく運用されるか気になるところです。
「定価を超える価格で転売」することを禁止と明確に表現しています。なので、定価以下の金額で取引することに関しては問題ないようですね。「超える」という表現なので、定価は含まれないはずです。なので、定価で転売することはOKとなるようです。これなら行けなくなった方が交換として定価で転売することも許されるようですね。
「懲役1年以下か罰金100万円以下の罰則」と罰則規定もちゃんと設けられています。この設定なら捕まった時のリスクを考えたらダフ行為を行う人は間違いなく減ることでしょう。
ダフ屋による法の抜け道をつぶすために
一見良いことづくめのと思われる法律にもきっと抜け道が出る可能性は否定できません。どの程度の厳しさで運用されるかも未知数です。もともと高額でも買いたいという人がいるという需要があるので、法律をかいくぐる手段を考える人はきっと出てくると思われます。
この転売問題を解決するには、「国」の法整備(監視と運用の強化)、「主催者」の個人認証などの対策、「ユーザー」の転売を利用しないというモラル向上の3方向からの対策が必要なのではないかと思います。チケットは今までのような紙のチケットが随分減り、電子チケット化が進みつつあります。それに伴い、スマホを利用した個人認証の仕組みは最近非常に進化し、今後うまく活用することでほぼパーフェクトな対策もできるようになるのではと期待しています。オリンピック後、イベント業界は大きく変わるかもしれませんね。
ということで、2018年11月現在のチケット転売問題とチケット転売規制法について解説してみました。また情報が出てきましたらあらためて解説したいと思います。それでは今回はこのへんで。
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