使う人は使うけど使わない人は全然使わないイベント用語解説のお時間です。たまに使う人が現れたときにギョッとしないために頭の片隅に入れておいた方がいいムダ知識の解説。

今回は運営でたまーに使われる「オールクリア」という言葉についてです。


「オールクリア」とはどんな意味なの?

ok_man
雰囲気とニュアンスでだいたい分かると思いますが、「OK」に近い意味で使われます。もう何も障害になるようないことがありません、次のフェーズに進行してOKです、的な感じですね。実際に使用される場合、「オール」という言葉をくっつけずに、「このエリアはクリアです」などと言われることも多いです。この言葉を使わなくても表現はできるのですが、使っているとちょっとカッコいい意識の高い運営用語です。


どんな時に使っているのでしょうか

search_mushimegane
一番使用頻度として多いのはお客さんの退場確認をする時ですね。客出しをしていて、エリアごとに追い出しをかけるのですが、そのエリアが完全に追い出しきった時に、「Aエリアはクリアです」などと使ったりします。そういう意味では「クリア=お客さんがもう誰もいないこと」と認識しても概ね間違いではないと思います。


使用例(トランシーバーのやりとり)

machine_transceiver
ディレクター「ちょっとAエリアがクリアになってるか見てきて。」
AD「はい、分かりました。」
少し経って
AD「Aエリア、クリアです。」
ディレクター「トイレもクリアかちゃんと確認した?」
AD「ちょっと待って下さい、もう一度見てみます。」
少し経って
AD「すみません、トイレに一組残ってました。その方々が出ればクリアです。」
ディレクター「最初からちゃんと確認しろよ!」
AD「Aエリア、トイレ含めてクリアです。」
ディレクター「全エリアオールクリアです。バラしはじめてOKです。」

なんかクリア、クリア言っててかなり意識高い感じですが、「お客さんが完全にいなくなった」ということを一言で表現するには結構便利だったりします。ちなみにこれがスタッフが残っていたとしても、次にフェーズ(この場合はバラし)に移れる状態であれば「クリア」と表現されます。



客出し時以外でも使われるパターン

客出し時以外でもたまーに使われます。例えばちょっとしたトラブルがあって対応に追われている時に、「さっきの件はクリア?」とかって聞かれます。トラブルが解決している時は「クリアです」、いない場合は「対応中です」と答えます。翻訳すると「トラブルの状況は大丈夫?全体の進行に影響ある?」という意味になります。ざっくり英語で言うなれば、「something wrong?」「No problem」ですね。

あとは強いて言うなれば、入場列や物販列などがすごく並んでいてそれが解消された際にも使われます。「列が解消された」という表現はともするとお客さん側が聞くとちょっとネガティブな印象を与えかねないので、そういう意味でもクリアを使う場合があります。
ebeecb3d838b4c74f248dcfe57a7356c_s



なぜか進行では使われない

tv_director
意味を考えると進行でも使っても良さそうなんですが、進行のディレクターからはあまり聞いたことないですね。転換後で次に行ってもOKの時には「クリアです」でも意味としてはいいはずなんですが、使う人はかなり少ないと思います。運営業務を行うときにだけ登場する言葉と覚えておいてほぼ間違いないと思います。


語源はなに?

space_rocket_hassya
この言葉の語源は一体何業界なんでしょうか?ゲームのクリア(達成)でないことは確かですね。おそらくですが、軍関係の言葉なのではないかと思います。英語では、「敵影なし、空襲警報解除」的な意味があるそうです。またロケットやエヴァの発射の際にも進路に邪魔なものがない時「進路クリア、オールグリーン」と使っていた気がします。

統一された行動を行うという意味ではイベントも軍隊的な行動と共通点があるので段々使われるようになったのではないかと考えられます。


使われる業界は?使用頻度は?

73334761fa7a960c452c7c9796c6f3ab_s
主に興行を主体とした大規模イベントの運営を経験しているディレクターさんやコンサートスタッフ系のディレクターさんからよく聞く言葉な気がします。ディレクタークラスは使うけど、ADクラスは言われたら意味は分かる、スタッフクラスは「ん?」となっちゃう言葉ですね。使う場合は相手の力量を考えてから使わないと、ただの意識の高い人になってしまいますのでご注意を。

イベントジャンルで言いますとやはりコンサート系のイベントの場合はよく登場するワードだと思います。また500名以上の大きな会場を運営する場合でも結構使われます。展示会やセミナー、式典などのお仕事を中心にされるているディレクターさんはあまり使わないかもしれません。



と、ややマニアックな用語をまとめてみました。

だいたい分かると思うのであらためて解説することでもないかもしれませんが、イベント用語ってこういう「ふんわりだいたいこんな意味」って言葉が多いんですよね。その認識のズレでトラブルが起きてしまうこともあるので、できるだけ言葉の持つ意味、ニュアンス、用例を身に着けておいた方が良いのではないかと思っています。

ということで、このシリーズまた思いついた時に続けてみたいと思います。今回はこの辺で。