ずっとオリンピックの話題ばかりというのもなんなんで、ここいらでちょっと違う話題を挟んでみたいと思います。

イベント制作会社でもけっこう苦手意識を持っている人が多いこの話題。電気です。今回はイベントにおける電源の基礎知識について解説してみたいと思います。自分も決して得意ではありませんが、制作会社として知っておくべきレベル程度であればお伝えできるはずです。。


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電気を取り扱う本業は誰?

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最近は電気がないと始まらないってぐらい、いろんなシーンで電気を使用しますよね。いつも電気について困ったら誰に相談していますか?照明さん?音響さん?会場さん?それぞれ電気に詳しい方はいるかもしれませんが、本職ではありません。では、電気を本業としているのは誰なんでしょう?それは電気屋さんです。えっ!?当たり前?そう分かっていても困ることは多いですよね。それは電気屋さんが入っているイベントばかりではないからです。そんな時どうするか。やはり誰に相談するにしても最低限の知識は身につけておきたいですよね。今回はその基本的な考え方をお伝えしたいと思います。


イベントにおける電気を使うシーン

電気を使うシーンはたくさんあります。まずは各パートごとに整理してみたいと思います。
  • 運営、進行
まずは控室に電源欲しいですよね。そこで何を使いますか?個人レベルだとスマホの充電、PCへの給電など。運営チームの控室だと、プリンターやラミネーター電源、トランシーバー用の充電などが考えられます。またタレントさんが入るような現場だと、コーヒーメイカー、メイクさんが使うドライヤー、ホットカーラー、ヘアアイロン、メイク用照明などを使いますよね。お部屋やブースが広くて掃除機を使う場合も電源が必要です。

また、最近では控室以外でも電源を使うことが結構あります。受付は今までならリストとペンと定規なんかを使っていましたが、今ではリスト検索にPCを使用することが多くなりました。そこで電源をリクエストされることが多くなった気がします。

屋外イベントの場合は基本インフラの部分も電気を使います。通常の控室なら別不電源になっているものも屋外だと用意が必要です。具体的には控室テント内の蛍光灯やスポットクーラーなどを使う時に電源を使用することが多いですね。

進行さんが使う電気はあまりありませんが、0だと困ることもあります。例えば暗い袖で表彰物を確認する時の手元明かりやモニター電源はないと困ることがあります。

  • 音響
音響は機材を扱うので電源はたくさん使いますよね。卓周り機材(ミキサー等)の電源、アンプ電源、厳密に言うと管轄が若干違うかもしれませんが、バンドなどを行う場合の楽器(ギターやベースアンプ、キーボード等)用電源も必要です。

  • 照明
ざっくりまとめますが、他にも各種ある演出照明(ムービングやソースフォーなど)電源、地上部隊としてはサイドやホリ用電源も使用します。調整室にあることが多いので余り気にしなくても大丈夫ですがピンスホも電源が必要です。

  • 映像
なんといっても消費量が多いのがプロジェクター、LED!大型映像を上映する機材はとっても電気を使います。そして卓周りの操作系機材(スイッチャーなど)、ディスプレイ、PCなど。演台で使うPCもバッテリーではなく電源を繋いで使用します。固定の中継カメラやハンディ用のバッテリー充電でも電源を求められることがあります。

  • 施工
施工さんが大工さんなんで使うことはないとお思いでしょうが、実はたまーにリクエストされることがあります。それは長丁場の現場の時のインパクトドライバーの充電です。コンセントの余裕を残しておかないと対応できなくなる場合があるので気をつけましょう。

  • 展示
展示で使う展示照明は電気屋さんのテリトリーです。電気屋さんが入っていると非常に心強いですね。展示の時には展示照明は欠かせません。展示で使用するアームスポットライトは電気屋さんが持っていることが多いです。同じ明かりだからといって照明さんに相談してもだめですよ。照明さんのメインのテリトリーは舞台照明。おそらく「ポカーン」とされてしまうでしょう。

  • 飲食、調理
業務用の調理器具はものすごく電気を使います。飲食イベントをする場合によく使われるのが、冷蔵庫、冷凍庫、ホットプレート、揚げ物などを温めながら保存するウォーマー、電子レンジ、ジューサー、アイスクリームメーカーなど。それぞれがどれぐらい電気を使うかご存知ですか?それも後に詳しく説明したいと思います。

  • その他
その他、メジャーなシチュエーションではないものの、急に電源ないですか?と聞かれる場合があります。過去の自分の経験でも「えっ!?」と戸惑ったことのあるシーンをご紹介します。

WEB配信を行う際の通信回線用ルーター電源、電子マネーを読み取る端末、レジ、譜面灯、保冷車用の外部電源、トラスの昇降用モーター電源、ALS等の重度障害者用の外部電源、アミューズメント空間を提供する際に使ったダーツ機材、アロマなどのボディケアをする時の足湯用湯沸かしポットなど。

考えてみれば当たり前ですが、油断すると焦りますよね。。


たくさん電気を使うもの、そうでもないもの

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電気に詳しくない方は、まずは是非これを覚えておいていただきたいと思います!たくさん電気を使うものは、
  1. 温度に関係するもの
  2. 光に関係するもの
  3. 動力(大きな力を発生)に関係するもの
これが電気的にやっかいな三大要素です。これが絡むと電気を手配する時にかなり警戒します。頼む側もこれが絡む時は使用容量をよく確認して、早めに相談しましょう!

1.温度に関係するもの

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控室関係では、ドライヤー、ヘアアイロンのプロユースのものは一つのコンセントから一つが無難です。消してタップなどでタコ足配線をしないようにして下さい。タコ足でなくても内部回路がつながっている場合がありますので、使用される際はちゃんと確認しましょう。またエアコンも電気の消費量は多いのですが、控室の場合、回路が別になっていることがほとんどなのであまり気にしなくても大丈夫です。気にすべきは屋外でスポットクーラーを使用した時ぐらいです。

飲食、調理関係では、電子レンジ、ホットプレート、湯沸かしポットがやばいです。ご自宅でも経験ありませんか?これらを同時に使ってブレーカーが落ちてしまうとか。それだけ容量をくう器具ということです。そして更に注意なのが、冷やすもの。大型の冷凍庫やアイスクリームメーカーは少し特殊な電気を要する場合があります。


2.光に関係するもの
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舞台照明の会社さんが取り扱う使う機材はたいてい大きな電力を使用します。すごく派手な照明プランを組みたくても電力が足らずにできないというケースもあります。照明用の電気は通常の「並行」と呼ばれるよく見るコンセントとは違う形状のものを使用することが多いです。電気にあまり詳しくない制作さんは照明電源にはあまり踏み込まないほうがいいかもしれません。

プロジェクターやLEDも原理を考えますとランプで強い光を発して映像を投影しています。基本的には明るい方が良いものとされ、イベントでは家庭用の電源ではまかなえないような電力を使用することもあります。


3.動力(大きな力を発生)に関係するもの
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これはあまり関わったことがありませんが、いわゆるモーターなどの動力電源です。工場などではよく付使われていますが、イベントではそこまで機会が多くない気がします。バトンのない会場で照明用のトラスなどを吊る時に、制御用でモーターを使うぐらいでしょうか。


どうですか?イメージ湧きますか?

ここに挙げたもの以外は逆に言うと大して電気を使用しません。たくさんつなぎ過ぎたらもちろんブレーカーが落ちますが、常識の範囲で使う分には特に問題なく使用できると思います。



今回はどんなものが要注意かを挙げてみましたがいかがでしたでしょうか?電気的にまったく分からないという方は、まずは電気を使う箇所と、このやっかいな三大要素を知ることで「やばそう」「大丈夫そう」センサーを身につけることをおすすめします。

まだまだお話しておかないといけないことがたくさんありますね。電気ほんと難しいです。

また別の機会でより掘り下げて解説したいと思います。ということで今日はこのへんで。