日本全国が信じられないほどの酷暑に見舞われている2018年。平成最後の夏。異常事態ですね。きっと全国のイベント会場で悩まされている問題が起きていることでしょう。それが暑いか寒いか空調どっちやねん問題です。運営に携わる方は一度は経験したことがあるでしょう。

今回はそんな会場の空調事情についてまとめてみたいと思います。



setsuden_airconditioner_man

イベントへの参加の仕方で異なる空調の感じ方

kaden_airconditioner
大きなイベント会場における空調の設定というのは非常に難しいのです。というのも、暑い夏に外からやってきたばかりの人はどんなにキンキンに冷えていても熱く感じますよね。逆に外から来た人に合わせた温度設定をしていると汗が冷えて段々寒くなってきますよね。スタッフはどうでしょう。常に動いているスタッフは暑くなります。技術さんも暑い機材の近くにいると暑いです。出演者も照明があたっていると暑くなります。では誰に合わせればいいの?絶対的な答えはありません。なので非常に難しい問題なのです。



会場のエリアで温度が違う

school_atsui_seifuku
イベント会場は広いので、全て均一に温度管理するのは難しいです。エアコンの吹出口の下は当然すぐに影響を受けるし、風も感じます。ところが吹出口から遠い場所はいつまでたっても温度が変わらず不快なままだったりします。また扉付近は外の温度に影響を受けやすいです。常に照明の当たっている舞台の近くやピンスポなどの照明の灯体の近く、機材の近くも熱を持ちやすいです。などのことがありますので、全ての人を100%満足させる空調管理というのは不可能に近いと思って下さい。



100%の来場者が快適に感じる温度に限りなく近づける空調術

100%は無理でも100%に限りなく近づけることは努力次第で可能です。その方法をいくつかご紹介したいと思います。


1.季節や天気によって空調設定を変える
season1_haruseason2_natsuseason3_akiseason4_fuyu

当たり前ですが、空調の状態は外気に左右されます。その外気の状態を知ることで設定を微調整しましょう。外気の状態は単純に気温だけではありません。季節によっては温度は一緒でも湿度が変わります。また天気の状態によって感じ方も変わります。運営に携わる方は会場内での業務だけではなく、開場の時に外の様子もチェックして調整を行いましょう。


2.時間帯によって空調設定を変える
thumbnail_clock
まず分かりやすいところでは朝、昼、晩で外気が変わると温度設定も微妙に変えた方がいい場合があります。寒暖の差が激しい時期は時間帯も意識してみましょう。

また来場者の動向もタイミングによって異なります。外から会場内に入った瞬間は暖かく?涼しく?どっちに感じさせたいか。最初はちょっと過剰に設定することで快適に感じてもらえたりします。夏の場合は当然会場まで炎天下の中を歩いて会場に来たら暑いですよね。通常よりも涼しめに設定しておいた方が喜ばれます。冬はその逆で会場が暖かくなっていると嬉しいですよね。これも時間とともに段々緩やかに調整していきましょう。

そして時間で言いますと滞在時間も意識しましょう。滞在時間が短いイベントと長いイベントかでも設定は変わることがあります。最初はいいけど段々不快になるというのもよくあります。滞在時間が長い時は定期的に場内の様子をチェックしましょう。


3.温度変化には時間がかかることを知り空調設定を変える
kazetooshi_house_good
イベント会場は空間が広いので、すぐに希望の温度にはなりません。それなりに時間がかかります。会場さんにその所要時間をあらかじめ確認しておき、少し早めに設定をするように心がけましょう!


4.来場者の属性、服装状況によって空調設定を変える
eakon_samui
男性参加者の場合はスーツで来るかどうかで大きく変わります。スーツなら少し涼しめにしても大丈夫でしょう。また女性の場合、ドレッシーな服装で参加されるようなイベントの場合はやはり冷えやすいと思います。来場者がやたら若い方が多い、または女性が多い、ご年配の方が多いなどによっても調整が必要です。


5.場内で行うプログラムによって空調設定を変える
nomikai_salaryman
これはどういうことかというと、ずっと座って聞いているタイプのイベントとスタンディングのLIVEは違いますよね。そこまで極端でなくても体を動かしたり、白熱の議論をしたり、食事をしたり、アルコールを飲んだり、移動が多かったりなど、なんらか体温に影響が出るようなプログラムの場合も空調設定を微調整する必要があります。



会場の空調管理は麻酔科医の全身管理のようなもの

medical_zenshin_masui
大げさですみません。自分はそう考えています。手術をする時は麻酔をかけられ、麻酔科医の先生が血圧や心拍数、呼吸、意識などの状態を管理し、外科医が集中して手術に望めるように状態を管理しますよね。それと同じように会場内にいる人たちはもうそこから動くことができず状態を人に任せるしかない状態になります。お客さんは空調を管理するディレクターに全てを任せて座ることしかできないのです。

麻酔の状態管理も何か異変がないかジッと患者さんを見守りますよね。それと同じようにディレクターも一旦動きを止めて来場者と同じ感覚で客席を見渡し、寒がっている様子、暑がっている様子などの変化を敏感に感じ取り、それに合わせて調整していく必要があります。非常に繊細で高度な技術が必要です。動き回るだけがディレクターの仕事じゃないってことですね。


イベント会場の空調は電気代がかかる

seikyusyo_denki
ちょっと話が変わりますが、やはりイベント会場は広いのでその空間全ての空調を行うとなるとそれ相応の電力を使用します。となると当然空調使用料がかかるわけですね。イベントに慣れていない方はこの空調使用料を計上しておらず後でびっくりなんてこともよくある話です。空調使用料は時間単位でかかりますので、あらかじめ会場さんにだいたいこの時間内で使用しますと伝え、概算の見積もりをもらっておくようにしましょう。ちなみに空調使用料が会場使用料に含まれる会場もあります。



空調を使用しなくてもいい時期

gashi_haruseason3_aki
1年のうちでも数少ないのですが、経験上では4月~5月、10月~11月は空調を使用しなくても割と快適に過ごすことができる気がします。空調使用料もかからないのでまさにイベントのベストシーズンと言えるでしょう!

逆にこれ以外の時期はだいたい使用しないといけないので、空調管理術は運営ディレクターの知るべき知識として重要な部類に入るかも知れないですね。



空調を使用することでまさかそんな事が起きるなんて!?

kaden_hanenashi_senpuki_kaze
大げさな表現をしてしまいましたが、「え!?それ空調のせいなの?」ってことがおきました。それは風によってステージの施工物が「揺れ」るんです。その時は懸垂幕(垂れ幕みたいなやつ)を出していたんですが、まぁゆらゆらと気になること気になること。リハーサルの途中で下にもテグスでテンションを掛けて解決したんですが正直何事かと思いました。同じような話でスクリーンが揺れて、映像がゆらゆらとなった場合もあります。ロケハンやセッティングの際にはエアコンの吹出口がどこにあるかチェックしておきましょう。



ということで、今回はちょっとマニアックなイベント会場における空調事情についてまとめてみました。本当に微妙なところではありますが、来場者が快適に感じるかどうか一番大きなポイントな気がしますので、是非常に意識できるように心がけましょう!それではまた~